研究課題/領域番号 |
26820033
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
杣谷 啓 東京理科大学, 工学部, 助教 (70581429)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高速安定性 / 動圧軸受 / 弾性支持 / 動特性 |
研究実績の概要 |
近年、小型ターボチャージャーなどのターボマシンに対する超小型化・超高速化への要求は強くなっており、10mm以下の軸を100万rpm近い超高速回転させる超小型・超高速回転ターボマシンを実用化させる取り組みが活発化している。このような超高速回転に対応した動圧型空気軸受に対する研究は広く行われており、これまでにOリングや弾性変形可能なフォイルにより動圧軸受を弾性的に支持することで高速安定性を向上させる手法が提案されている。しかし、Oリングを用いた弾性支持構造は温度依存性が非常に高く、その性能が環境により左右されやすいといった問題があり、フォイルによる弾性支持構造は製作が困難であり個々の性能のばらつきが非常に大きいといった欠点がある。そこで本研究では、製作が容易かつ高温雰囲気にも耐えられる超高速回転用空気動圧軸受を実現するため、弾性ワイヤーによる新しい弾性支持構造を持つ動圧空気軸受を提案する。そして、この軸受構造の高速安定性に関して数値的に明らかにするとともに、その結果を用いて試験軸受の設計・製作を行い、実験的に高速安定性などの諸特性について検討を行う。平成26年度は、提案する弾性支持軸受の動的な構造特性について実験的に測定するとともに、高速安定性についても実験的・数値的に検討を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)提案するワイヤーを用いた弾性支持構造は信頼性、繰り返し性共に優れた動剛性・減衰性を有する。(2)提案する弾性支持構造の動剛性は、振動周波数の上昇にしたがって増加する。一方、減衰係数は周波数の上昇に伴い減少する。(3)提案する弾性支持軸受を用いることで、直径6mm、重さ4.8gの軸を70万rpmで安定的に支持できる。(4)弾性支持構造の動剛性を減少させることで、軸受の高速安定性は改善する。また、減衰係数を増加させることでも安定させることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度には、①提案する弾性支持軸受の構造特性、②提案する弾性支持軸受の高速安定性について検討を行った。 ① 提案する軸受における構造特性(動剛性・減衰係数)については振動方向による影響について検討の余地が残るものの、ほぼ予定通り進行している。提案する軸受の構造特性については、周波数応答実験によって1自由度のvoigtモデルを仮定した場合における動剛性および等価粘性係数を求めた。弾性支持構造のワイヤー径,ワイヤー本数をパラメータとして4種類製作し,その動的特性を実験的に検討した。 ② 高速安定性については数値計算プログラムの製作および実験装置の製作が完了しており、順調に進展している。数値計算では回転軸の運動および軸受すきま内流れの連続式を同時に解くことで軸心軌跡を求める非線形軌道法を用いた。そして、弾性支持構造の製作が可能な範囲において動剛性と減衰係数についてパラメータスタディを行い、最適構造の指針を得ている。さらに、構造特性実験によって得られた弾性支持構造の動剛性および減衰係数を用いて安定性解析を行い、実験結果と計算結果の比較を行った結果、両者が良い一致を示すことを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、提案する弾性支持軸受の高速安定性の実験的解明および弾性支持構造の最適化について進めていく予定である。試作した弾性支持軸受の高速安定性を実験的に求め、平成26年度に製作した数値解析プログラムの結果と比較・検討する。そして、数値計算手法の妥当性を検証・確認すると同時に、高速安定性予測を可能とする。現段階では高速安定性実験の結果が少ないため、その信頼性や再現性を確認するために高速安定性実験を継続して行い、十分なデータを取得する。そして、弾性支持構造による構造特性(動剛性、減衰係数)への影響についても数値的・実験的に検討を進めることで最適な構造特性を得るための設計指針の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度において本研究に関わる成果発表を行わなかったために次年度に使用する予定の研究費が生じた。これは、小型ターボ機械用の高速軸受に関連する研究が海外でも活発に行われており、国際的な学術会議において発表することが望ましいと判断したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越された研究費は平成27年度にポスター発表を行う予定であるアメリカ機械学会ASME Turbo Expo 2015における講演登録料・旅費として使用する予定である。
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