液体水素の量子性(水素を構成する原子核の位置と運動量が一意には定まらないという性質)が,気泡の初生速度(発泡のしやすさ)へ及ぼす影響を明らかにすることを目的として,液体水素の状態を分子レベルで再現するシミュレーションを実施した.その結果,本シミュレーションならびに既往の理論から,(1)水素の量子性は,マクロな観点(熱力学的な観点)で評価すると,気泡の初生速度を5~10桁程度下げる作用があること,(2)水素の量子性はミクロな観点(分子論の観点)では分子の大きさを見かけ上大きくする効果があり,この効果が(1)の結果をもたらす一因であること,の二点がわかった.
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