研究課題
液膜の流れ方向に曲率を持つ流路として,水平円柱側壁あるいはそれに類似する一定曲率の曲面に沿う液膜流は,最近普及に向けて研究開発が進んでいる小規模水車の水流導入,工業的には溶融金属から直接薄板を作るストリップ鋳造法や吸収冷凍器内の凝縮伝熱などと関連した流れである。この曲面に沿う液膜流では,遠心力に起因した不安定波動現象が液膜表面に生じ,筋状の定在的な波となって液膜表面の波状変形を引き起こす。この定在波は,流体力学で扱う通常の波動とは異なり,流体に対し伝播速度をもたない液面上の静止した波である。本研究計画では,この曲面を水車の水流方向制御に応用することを想定しており、曲面上に定在波が形成されると水車への水流の作用位置が変化するため、水車性能の低下を招くことがわかっている。そこで本研究の目的は、第1に曲面上を流下する液膜流の流動形態解明と液膜安定化のための制御手法の確立、第2に上記制御技術の水車タービン導水用曲面部への応用である。本年度は,第1の目的を達成すべく曲面上を流下する液膜流の流動形態解明をおこなった。流動形態の評価にはレーザシートとハイスピードカメラを用いた水流断面形状の可視化計測と、レーザドップラー流速計(LDV)を用いた水流の速度分布計測を主に実施した。その結果、曲面上を流下する水流の速度と厚み(水深)に正の相関が認められるとともに、水流の厚みと曲面の曲率半径には負の相関があることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた研究目的である「曲面上を流下する液膜流の流動形態解明と液膜安定化のための制御手法の確立」について達成できている。
当初予定している計画どおり、定在波発生抑制技術を水車タービン導水用曲面部へ応用する。
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