開放型貫流水車のランナの導水部に、水流落下位置制御のために曲面流路が用いられている。実用的な観点から、幅広い流量範囲においても落差工からの滝状流れの落下位置を固定できること、および小水力発電で問題となっている塵芥除去が不要となることなどそのメリットは大きい。その一方で、大流量条件においては、曲面流路に沿って流下する水流の自由表面に流れ方向に筋をなす定在波が曲面流路の曲率開始部から成長をはじめ、水流の落下にともない成長する現象が存在することがわかった。この導水用曲面流路に沿う水流に生じる定在波について、その山部はランナへの水流の最適衝突位置から外れた位置に作用するため水車性能の悪化を招く。平成27年度は、水流自由表面に生じる定在波の平均振幅、振幅の時間変動の大きさ、水流の落下速度について定量的に評価するとともに、流路平板部の角度を変化させることによる定在波の抑制効果の評価とその際の水車性能について検討した。以上の検討により得られた代表的な結果として、定在波の成長状況はゲルトラー数で比較的良好に整理できることがわかった。また、平板部角度の変更により定在波は抑制され、水車性能が向上することがわかった。今後は、曲面流路の曲率半径をパラメータとした検討を実施することでより一般性のある整理が可能となる。
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