研究実績の概要 |
平板列において, Volume Penalization法を用いた流れと音の直接計算を行い, 平板後端の振動による流れと音の制御を実施した. 平板列の共鳴周波数と異なる周波数(共鳴周波数の64%)において, 平板列中の1枚おきの平板後端を振動させた結果, 共鳴音は振動振幅の増加とともに減少することがわかった. 振動振幅が平板厚みの15%の場合では, 共鳴音が10dB低減した. また, 渦放出に関しては, 非制御時では隣り合う渦放出がanti-phaseとなり音響共鳴に対して強め合うモードであったが, 制御時にはin-phaseに変化し, 共鳴が弱まることにつながったと考えられる. 以上より, 厚みに対して十分小さな振幅であっても, 流れや音へ大きく影響を及ぼしうることがわかった. また, 実際のリード楽器まわりの流れ場および音場に対して, 平板列と同様の手法を用いて流れと音の直接計算を実施した. 実験で測定された平板振動を入力とした場合に, 発生音を実験値と比較したところ, 基音のレベルに関して良い一致が確認された. さらに, リードの振動波形やリード・マウスピース間の流路幅(チップ流路幅)が音圧スペクトルに及ぼす影響を明らかにした. 管内に入る流量の変動により, 内部の圧力変動が生じ, 管内共鳴が強まる. ただし, チップ流路幅が大きくなると, 内外の圧力差が小さくなり, 内部圧力によって内部へ流入する流量が基音の1周期において2回極大値を取るため, 2倍音が大きくなることなどが明らかになった.
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