• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

管内流れ中で変形する物体周りにおける微小粒子のダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 26820050
研究機関関西大学

研究代表者

大友 涼子  関西大学, システム理工学部, 助教 (00726862)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードマージネーション / Stokes flow / せん断流 / 粒子充填層 / 空隙分布
研究実績の概要

本研究では血管内で変形する赤血球の存在によって生じる血小板のマージネーションの詳細解明を背景とし,管内流れ中で変形する物体周りでの微小粒子の挙動について調べることを目的としている.上記の現象は,1)管内流れ中での物体の変形プロセス,2)その間隙を流れる微小粒子の懸濁液の移動プロセスの2段階に分けて説明されている.平成26年度の研究計画はプロセス1)を重点的に行うものであったが,当初の予定を変更し,プロセス2)に対して実験および数値解析によるアプローチを行ってきた.
実験では準二次元流路に球形のガラスビーズを充填し,その間隙を流れる微小粒子の懸濁液の挙動を顕微鏡により観察するシステムを構築した.大きさの異なる微小粒子を用意し,それぞれの条件に対して流路中での微小粒子の空間分布を測定することで,ガラスビーズの間隙のスケールと微小粒子の大きさの相対値が移動特性に与える影響を調べている.球形ビーズの充填流路と共に予定している非球形の障害物が存在する流路については,マイクロ加工技術を利用した流路の自作を検討中であり,準備を進めている.また,次年度以降で必要となる赤血球の蛍光染色方法について検討し,DiIC12(3)を用いた染色に成功した.
数値解析ではStokes近似が成り立つ系を仮定し,Stokesian dynamics(SD)法を用いた間隙を流れる流体中の微粒子挙動の解析方法を検討した.検討の結果,SD法は有効であるものの現有のコードに大幅な改良が必要であると判断したため,修正を行い,最も大きな問題点の一つを解決した.本研究以前からSD法を用いて微小粒子を含まない流体のみの場合における間隙中の透過特性について調べる研究を進めていたため,その研究と併せて平成26年度には,間隙の連結性がその中の流体の移動特性を決定するための重要なファクターであることを定量的に確かめ,さらに間隙の空間分布特性を数値で定量的に表す方法を検討した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は,物体の間隙を流れる流体中の微小粒子の挙動に関する実験および数値解析手法の展開に焦点を当てて研究を進めてきたが,実験システムの構築および数値解析コードの修正のために当初の予定よりも時間がかかってしまったため,それらを用いた解析については十分な結果を得るまでに至らなかった.そのため,計画に多少の遅れが生じた.しかしながら,例えば間隙の空間分布特性の定量的評価や赤血球の蛍光染色など計画の中のいくつかの部分はおおむね順調に準備できた.

今後の研究の推進方策

遅れが生じた粒子充填層を用いた実験については,引き続き実験の回数を増やし,ガラスビーズの間隙のスケールと微小粒子の大きさの相対値が移動特性に与える影響に関して考察を深めていく.また計画の順序を入れ替えたため,平成27年度には1)管内流れ中での物体の変形プロセスについても準備を進める必要がある.ヒト赤血球の蛍光染色は平成26年度に成功したため,その赤血球を管内流れ中に浮遊させ,せん断流れ中で赤血球形状がどのように変化するかを顕微鏡により観察する.観察結果および既存の文献から,血管内流れ中で赤血球が作り出す間隙形状をモデル化し,非球形の障害物が存在する流路を作製する.その中に微小粒子の懸濁液を流して挙動を観察することで,特に血管内での間隙の空間分布特性とその中を流れる微小粒子の移動特性との関係を調べ,最終的には血小板のマージネーションが起こる仕組みについて詳細に考察する.
数値解析に関しては,改良したコードを用いて間隙を流れる流体中の粒子挙動のシミュレーションを行う.さらに改良が必要な場合が想定されるが,その都度できるだけ速やかに対応する.シミュレーションによって,例えば流体とともに流れる粒子にどのような抵抗が作用するか等,実験では得られない情報を得ることができるため,それらを用いて間隙の空間分布特性と粒子挙動との関係,およびせん断流の影響などについて考察する.

次年度使用額が生じた理由

実験システムの構築および数値解析コードの修正のために当初の予定よりも時間がかかってしまったため,実験で使用する消耗品購入のための支出が計画よりも少なかった.

次年度使用額の使用計画

平成26年度の繰越金は,数値計算のためのコンパイラの購入費用として計上する.これは,計画順序を入れ替えたことによって予定よりも早く数値解析に着手したこと,コードの改良により計算時間が大きく増加したことによる.
平成27年度には,USBカメラや光源も含めた顕微鏡関連費を主に計上している.その他には,2次元流路の作製およびそれらを用いた実験のための流路用部材,ポリスチレン粒子,蛍光粒子,作動流体となる溶液などの購入が必要となる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Fluid permeability of fibrous layers with finite thickness2015

    • 著者名/発表者名
      R. Otomo, and M. Sugihara-Seki
    • 雑誌名

      Journal of Biorheology

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 有限厚さをもつ繊維層の端部近傍における流体透過特性2014

    • 著者名/発表者名
      大友涼子,関眞佐子
    • 学会等名
      第62回レオロジー討論会
    • 発表場所
      福井市地域交流プラザ (福井県)
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-17
  • [学会発表] 有限厚さを有する粒子層中の透過流動2014

    • 著者名/発表者名
      大友涼子,関眞佐子
    • 学会等名
      混相流シンポジウム2014
    • 発表場所
      かでる2・7 (北海道,札幌市)
    • 年月日
      2014-07-28 – 2014-07-30
  • [学会発表] End effect on fluid permeability of particulate layers2014

    • 著者名/発表者名
      R. Otomo and M.Sugihara-Seki
    • 学会等名
      11th World Congress on Computational Mechanics (WCCM XI), 5th European Conference on Computational Mechanics (ECCM V), 6th European Conference on Computational Fluid Dynamics (ECFD VI)
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      2014-07-20 – 2014-07-25
  • [学会発表] 有限厚さを有する繊維層中の流体透過特性2014

    • 著者名/発表者名
      大友涼子,関眞佐子
    • 学会等名
      第37回日本バイオレオロジー学会年会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティビル4F市民ホール (埼玉県)
    • 年月日
      2014-06-05 – 2014-06-06

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi