研究課題/領域番号 |
26820053
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
青野 光 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (10623712)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオ流体力学 / 渦 / 羽ばたき音 |
研究実績の概要 |
本研究は、世界中で活発に研究が行われている羽ばたき飛行の未解明な問題の一つである羽ばたき飛行中に生じる可聴域の羽ばたき音(羽音)に関するものである。主な目標として、羽ばたき音の発生メカニズムを解明することと羽音の特性を理解することである。その目的を達成する為に、本年度は以下の研究活動を進めた。
初めに、対象する飛行機を選定し購入した。本研究が対象とする羽ばたき模型飛行機は、ハチドリを模範した羽ばたき型小型模型飛行機である。体重が約3グラム、体長が15cm以内の小型飛行機に部類し、昆虫やハチドリなどの羽ばたき飛翔を主に移動手段とする生物と同程度の大きさであり、本研究で培われる技術と明らかになる知見は幅広く活用できる。 続いて、羽ばたき音を計測するため実験装置及び実験室の準備を行ない、実測を行った。具体的には、某企業所有の大型無響室を数日間レンタルし、無風環境下での羽音の測定を行った。実施者が知る限り、この計測実験自体が世界で初めての試みである。実験により羽音の計測データだけでなく、羽音計測の実験技術における問題点などの知見を得ることができた。これらのデータは今後の研究で活用する予定である。計測データを解析し、それらの結果を来年度の国内の関連学会で発表する予定である。平行して、実物を基に羽ばたき機の計算モデルの図面作成から行いモデルの構築と羽の音響解析の予備計算などを進めた。こちらも含めて来年度発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度は、数値解析面においてはやや遅れているものの、実験面においては順調に達成されている状況である。 既存の羽ばたき模型小型飛行機を基に数値計算モデルの構築を行っているが、羽ばたき模型飛行機の図面が存在しなかったため、実物を基に図面の作成から開始することとなった。実施者の研究機関での手続きの都合上で実物の購入が遅れてしまったこと、複雑形状のスクラッチからの図面作成であったことなどにより、計算モデルの構築に時間がかかった。 一方、羽音の実測については、予定通り無風条件での無響室での羽音計測実験を実施し、羽音のデータを取得することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、羽音の実験的計測と数値解析を行う。特に、前進飛行条件での羽音を計測し、様々な気流条件下での羽音の特性を明らかにする。また、羽音計測実験を行った際に明らかになった実験の問題点の解決策を考えるとともに計測データの信頼性についても検証する。一方、数値解析の面では、平成26年度で計測した羽音データとの比較のために計算モデルの完成を急ぐ。構築でき次第、モデルの検証を行う。検証が確認でき次第、本格的な羽音の数値解析を進め、実験結果も含めて羽音の発生メカニズムの解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定していた学会発表とデータストレージ及びワークステーションの購入を次年度に持ち越したため
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、検証計算および計算モデル構築に必要なワークステーション、結果を保存するためのデータストレージ、羽ばたき実験に必要な消耗品、さらには研究成果発表のための旅費などに研究費を使用する予定である。
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