本研究は平成26年度と27年度の2年計画である。平成27年度における実施内容として、1/10スケールの傾斜軸独立回転車輪ユニットの設計・制作をおこない軌条輪による走行安定性の検証実験をおこなった。平成26年度までに、提案する傾斜軸独立回転車輪操舵台車の数値解析モデルを構築し、MBDソフトウェアを活用した走行シミュレーションを実施した。以上の実施内容は研究計画に沿ったものであったが、今回の研究において新たに得られた成果として、当初予定していた逆踏面式独立回転車輪に加え、EEF式傾斜軸独立回転車輪台車を提案した。新たに提案したこの台車は、既存のレール・分岐器にも適用可能な車輪メカニズムを備えている。実車スケールの数値解析の結果から、提案する2つの方式の傾斜軸独立回転車輪操舵台車ともに、曲線半径10mといった超急曲線であっても脱線係数が低く、高速走行時の自励振動も発生しにくい特性を有していることがわかった。また、スケールモデルではあるが、軌条輪によって2つの方式の傾斜軸独立回転車輪操舵台車ともに、自励振動が発生しにくい特性を実験により確認した。これら成果については、当初の計画どおり、国内講演会への発表、ならびに鉄道技術国際シンポジウムSTECH2015等へ成果発表をおこなった。以上のように当初計画していた成果に加え、新たな着想に基づく実用的な操舵台車を提案することができた。平成27年度における成果については、2016年度内に開催される講演会へ成果発表を予定している。
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