力学特性を制御可能なエアロマグネティックセルの振動特性を明らかとし,乗り物における振動低減への可能性を検討するため,以下の研究開発を実施した. 低周波数帯域(20 Hz以下)で加振可能な振動測定システムを用いて,エアロマグネティックセルにおける動的特性と圧力の関係の明確化するために振動測定実験を行った.その実験結果(宮田ら、2015)から空気圧を4~10 kPaまで変化させることで,共振周波数が11.1~6.6 Hzの間で変化することが確認できた.高周波帯域の振動特性を調査するためにインパクトハンマーを用いた加振実験を実施した.その結果,100~1000 H zにおいて,磁力を付加させることによってマグネティックセルによる減衰効果が得られることがわかった.以上の結果より,エアロマグネティックセルの振動特性が明らかとなった. 振動乗り心地に影響を及ぼす20 Hz以下の領域に着目し,エアロマグネティックセルの振動特性を再現するための理論モデルの構築を行い,理論解析結果と実験結果の比較することで妥当性の検証した. さらに,乗員-シート系における理論解析モデルのシート部にエアロマグネティックセルの力学パラメータを適用させ数値解析システムを構築した. エアロマグネティックセルの有用性を検討するため,ISO8608:1995に基づき作製した路面を走行する数値解析を実施した.これより磁束密度を変化させることで,乗員頭部の周波数応答特性が変化し,特に振動乗り心地に影響を及ぼす7 Hz周辺において磁束密度が22 mTで加速度が増加していることに対して,磁束密度が14 mTでは25 %程度加速度が低下した. 以上のように磁束密度により乗員-シート系の振動特性が変化するため,これを応用することで,路面特性に応じて磁束密度を変化させることで,乗員の振動を効果的に低減させることが可能となると考えられる.
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