小型部品同士の接触を伴う組立作業をロボットで実現する,新しい機構のエンドエフェクタを開発することが本研究の目的である.人間は手先でコンプライアンス制御を実現し,精度の求められる難しい組立作業を巧みな動作でこなしている.製品の組立工場で行われている10 μmのクリアランスの部品の組み立ては,通常の人間の手先精度では不可能であるが,鋭い手先感覚を利用することにより実現している.これに対してロボットハンドはこれまでも提案されているが,重要なのは形状の類似性ではなく,機能として,高い自由度,構造的頑健性,そしてバックドライブ性を有することであると考える.そこで本研究では,デルタ型パラレルリンク機構を利用したエンドエフェクタを開発する.本論文では,上記機能を実現するエンドエフェクタの形状と運動学に関して提案する. 製作したパラレルリンク型エンドエフェクタを試験的動作を実施した。デルタ型パラレルリンクでは一つのリンクアームセットに対して4つリンク長を決定する必要があるが,最も根元のリンク長はタスクによって調整可能である機構を採用した。これにより,作業範囲に応じて機構の調整が可能となった。また,製作したエンドエフェクタとマニピュレータに必要な位置情報同定に関してICPアルゴリズムを用いる手法を提案した。柔軟物体のマニピュレーションに応用し、様々なロボット姿勢からカメラによって同一物体を観測しICPアルゴリズムによって校正マトリックスを取得する手法の有効性を実験により確認した。
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