研究課題/領域番号 |
26820092
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
カビール ムハムドゥル 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10422164)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオ燃料電池 / 余剰活性汚泥 / 減容化 / 可溶化 / タンパク質 / 殺菌 |
研究実績の概要 |
1.余剰活性汚泥の可溶化について 我々は,フェライト粒子のモーションを外部磁場により制御し,ラボ・スケールで活性汚泥を可溶化し,細胞内のたんぱく質や炭水化物を液体中に放出させることにすでに成功している.そこで,上記の処理方法を用いて,前述の目標の達成のために大量・短時間処理を目指した. (1)短時間処理 可溶化された汚泥をバイオマスとして使用するには,活性汚泥の短時間処理が求められる.大量に発生する余剰汚泥を短時間に処理するには,電磁石に印加する電圧の周波数を1Hz~2.5Hzまで変化させることで,活性汚泥とフェライト粒子の衝突の回数が増え,短時間処理が可能になった.但し,電力の観点から1Hzの方が望ましいと思われる. (2)活性汚泥の大量処理 活性汚泥の大量の可溶化のため,既存の処理システムの電磁石間に,金属板(フェライト系ステンレス(SUS430),20cm×10cm×2mm)の磁気回路の導入し,電磁石により作られる磁束密度分布の拡大化に成功した.その結果,処理容器の拡大や処理活性汚泥の増量につながった. 2.余剰活性汚泥を用いたバイオ燃料電池の開発 可溶化された余剰汚泥に対して一槽型微生物燃料電池を用いた.つまり,陽・陰の電極を挿入して微生物燃料電池を組み立てるだけで,可溶化された汚泥から電力変換する.可溶化された活性汚泥のCODは未処理の汚泥と較べて5倍増加していることから,未処理の汚泥と較べてcyclic voltametryを用いて電力の計測を行った.微生物燃料電池の場合,燃料となる可溶化された活性汚泥と電力生成に限度があるとわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,毎年多量に発生する余剰活性汚泥の有効的な利用のため,余剰活性汚泥を可溶化させ,活性汚泥内の栄養物質を利用したバイオ燃料電池(Microbial fuel cell:以下MFC)を作製することで,余剰活性汚泥の消失を狙うとともに,電気エネルギー変換効率の高い燃料電池の開発を目的とする. 当該年度までは,ラボ・スケールで,既存のシステムより1.6倍の余剰活性汚泥を減容化することに成功した.また,周波数増加や前処理による,短時間処理も検討し,短時間処理には,電力の観点から前処理の方が効果的であるとわかった.そして,可溶化された余剰汚泥を用いて一層型のバイオ燃料電池に使用し,電力生成に成功した.但し,バイオ燃料電池の場合,可溶化された活性汚泥の投入量などが重要なパラメータとなると思われ,今後はさらなる研究が必要となる.
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今後の研究の推進方策 |
1.余剰活性汚泥の可溶化について (1)下水/排水処理場で活性汚泥の可溶化 現在までの成果を基に,連続処理の実用化を考えている.一週間で,3-4回余剰汚泥の可溶化を施し,可溶化された汚泥を用いてMFCによる発電に応用すると考えている.当初は実地試験を考えていたが,予算不足により装置を大型化できず,ラボ・スケールで実施したいと考えている。 2.余剰活性汚泥を用いたバイオ燃料電池の開発 (1)電子伝達媒体(mediator)・電極の金属板 大きな電流密度,小さい過電圧,高い安定性,クロスオーバーの回避などの観点から電子伝達媒体(mediator)の選定は重要と思われる.その上,活性汚泥は多種多様の微生物の集団であるため,そのメカニズムにはわかっていないものもあるが,mediatorなしでも電気の生成は可能だと知られている.Mediatorの有無に関しての電気エネルギー変換効率を比較し,例えば,単3 ニッケル-水素電池に相当する電力(3.9 W・h)を基準と考え,上記の両状況について検討する.その際,陽/陰極の金属の特性を考慮し,白金,フェライト系やグラファイトの電極を用いて発電能力を調べる.計測には,電力測定とともに,活性汚泥のpH,濃度(MLSS)やCODを計測する.
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の備品(電気化学測定システム)の価格が値下げされたため
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次年度使用額の使用計画 |
活性汚泥の培養に関する薬品等の消耗品に充てる
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