本研究では,毎年多量に発生される余剰活性汚泥の有効的な利用のため,余剰活性汚泥を可溶化させ,活性汚泥内の栄養物質を利用した微生物燃料電池(Microbial fuel cell:以下MFC)を作製することで,余剰活性汚泥の消失を狙うとともに,電気エネルギー変換効率の高い燃料電池の開発が目的である. 昨年度までは,ラボ・スケールで,既存のシステムより1.6倍の余剰活性汚泥を減容化することに成功した.また,周波数増加や前処理による,短時間処理も検討し,短時間処理には,電力の観点から前処理の方が効果的であるとわかった.そして,可溶化された余剰汚泥を微生物燃料電池に使用し,電力生成に成功した. 燃料電池の場合は,電極の性質や大きさが重要であることが確認できた.また,air cathodeの場合は,空気層も重要であり,空気層の厚みによる電力生成が異なることが分かった.電力は無負荷状態だけではなく、負荷状態でも実験期間中も確認できている.現段階では,変換効率は高いものの,生成電力は非常に小さいことが課題となっており,セルの連結などにより,その課題は解決できるが,乾電池の様な単体での電力生成には今後はさらなる研究が必要となる.
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