研究課題/領域番号 |
26820094
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
磯部 高範 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50545928)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発電機 / 無効電力補償 |
研究実績の概要 |
計画に基づき,永久磁石発電機(PM発電機)に2スイッチ式直列補償装置を用いた整流回路の実証実験を行った。提案する方式の利点として,直列補償装置は補償分の電圧を発生するだけなので電圧定格の低い半導体デバイスを利用できること,また半導体デバイスを通過する電流が少ないことから,きわめて少ない損失で直列補償が可能であることが挙げられる。これに加えて新たな提案として,半導体デバイスでの損失をさらに下げるスイッチングパターンを今年度開発した。 実験により,これらの特長を備えた直列補償装置の損失は極めて少なく,1.5kW発電機でほぼ定格運転状態において8W以下程度であることを確認した。また直列補償による適切な無効電力制御により,発電機の効率は4ポイント程度向上していることが確認できた。しかしながらダイオード整流回路の損失は20W程度となっており,ダイオード整流回路の効率がIGBTを用いたPWM整流回路と比較してどの程度小さくなるかが重要である。PWM整流回路では当然に無効電力の制御ができるため,発電機の効率向上は同じ程度期待できるからである。 また,実験ではフィルムコンデンサを用いた。フィルムコンデンサのESR(等価直列抵抗)はかなり低く,半導体での損失にくらべてコンデンサでの損失は無視できるほどに小さいことを確認した。この実験の構成では電圧定格100V程度のコンデンサが必要であるが,入手性の問題により600Vのものを使用した。この結果,コンデンサの体積が比較的大きいものとなってしまった。これに対し,低電圧フィルムコンデンサの検討と積層セラミックコンデンサの使用の可否についても検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
提案方式の制御手法の開発と実験での実証についてはおおむね計画通り実施できている。しかしながら計画に挙げた高調波の発電機への影響評価と,発電機設計とのシステム最適化については実施できていない。とくに後者については平成27年度に予定している発電機の製作にかかわる事項であるため,速やかな検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には検討したシステム最適化に基づき発電機を製作し,システム全体の評価を行う予定である。また,直列補償回路の小型化のためのコンデンサ検討を進め,その大きさ評価を新たに計画に加えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費に関しては正確な見積もりをすることが困難で,千円未満の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度計画している研究補助員の人件費としてあわせて使用する。
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