研究課題
平成26年度は,洋上風力発電装置のような大型機に磁気ギアード発電機を適用する場合の課題である低速ロータの固定方法の開発を実施した.当初は数値シミュレーションによる全体の最適設計を行う予定であったが,通常の発電機には存在しない低速ロータの構造に特化した最適設計を実施した.大型機で低速ロータを固定するためには,強度を考慮して金属製のボルトやピンを使う必要があるが,磁気回路中に金属製の固定具が存在すると,磁束の変化により渦電流が発生し,発電効率の低下につながる.そのため,これまで低速ロータの空隙部に非磁性体の金属製ボルトを打ち込み,軸方向両側から固定する方法が提案されているが,これらのボルトは低速ロータそのものを固定しておらず,十分な固定強度が得られない.また,空隙中に漏れた磁束により,渦電流が発生し,効率低下につながっている.そこで,申請者らは低速ロータを構成する磁極片内部に非磁性体の金属製ボルトを打ち込み,直接,磁極片を固定する方法を提案した.磁極片内部に金属製ボルトを打ち込むことで,磁極片が磁気シールドとなり,非磁性体の金属製ボルト内部には磁束が漏れない仕組みとなっている.これにより,低速ロータを十分な強度で固定でき,さらに,金属製ボルト内部での渦電流発生を抑えることに成功した.また,1kWにダウンサイジングした磁気ギアード発電機の試作機を用いて,従来の空隙部に金属製ボルトを打ち込んだ構造と実験により比較した結果,申請者らが提案した構造の方が損失が小さく,高効率であることがわかった.このように,平成26年度には,低速ロータの実用的な固定方法を開発し,特許出願を完了した.
2: おおむね順調に進展している
実用的な低速ロータの固定方法を開発し,磁気ギアード発電機の実用化に近づけたから.
これまでは力行モードでの運転での評価を行っていたが,次年度はPWMコンバータを用いた発電モードでの評価を行い,磁気ギアード発電機の有効性を検証する.
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COMPEL - The international journal for computation and mathematics in electrical and electronic engineering
巻: Vol. 34, No. 2 ページ: pp. 1 - 11
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