平成27年度は、前年度の成果として得られた円形モデルコイルの試験結果と構築した解析モデルに基づいて、より詳細にYOROIコイル構造の応力分担の主要因である上下蓋に関するパラメータ解析を行い、コイルおよび補強部の詳細な応力ひずみ分布の解析に成功した。また、YOROIコイル構造を冷却した際の、熱応力および熱ひずみについても詳細に解析評価を行い、前年度に得られた冷却試験結果との比較により、解析の妥当性が確認でき、冷却過程におけるYOROIコイル構造の詳細な熱応力および熱ひずみ分布について本研究により初めて明らかとなった。上記これらの研究成果は、国際会議International Conference on Magnet Technology 24にで発表し、国際誌IEEE Transactions on Applied Superconductivityへ投稿して、査読審査後採択され2016年2月に掲載された。 以上の研究成果を踏まえて、1.2GPa(B×J×R計算、従来設計の2倍以上)のフープ応力と200A/mm2(従来設計の2倍以上)の電流密度を有する内径1mの実規模サイズのYOROIコイル構造について、開発した数値解析モデルを用いて解析評価を行い、超伝導特性が劣化しない上下蓋の厚みを探索した結果、1.2GPaの高機械強度と200A/mm2の高電流密度を両立できる高温超伝導電磁石の設計に成功した。以上から、本研究の目標であるYOROIコイル構造の高機械強度設計ツールの開発を達成できたと考える。
|