集光式太陽光発電(CPV)システム用パワーコンディショナ(PCS)の開発に向けて,CPVシステムを定電圧制御あるいはMPPT制御で運転した場合の発電電力および発電電力損失を実測データに基づき比較した。なお,本研究で検討対象としたCPVシステムは集光倍率820倍のフレネルレンズを搭載しており,1モジュールあたりの受光面積は1.0m2,定格出力は280Wで,システム全体の受光面積は15m2,定格出力は4.2kWである。検討の結果,定電圧制御の場合の年間の発電電力はMPPT制御の場合に比べて小さくなるものの,日射変動が激しくなるような天候の日についてはほとんど差はないことがわかった。また,PCSを介して実際に電力系統に連系したCPVシステムの発電電力を長期的に計測し,その発電実績を蓄積した。そのシステム変換効率は,天候や季節によりやや変動はあるものの,年間を通して20~23%程度であることがわかった。 CPVシステムの最適制御の実現のため,その発電特性を気象データに基づき求めることができる数値モデルを構築した。計算に用いるデータは直達日射,モジュール内外の気温,およびセル・モジュールの劣化係数である。ここでは,直達日射がレンズを透過しセルに至るまでの日射エネルギーの減衰を考慮して発電電力を求めるモデルと,気象データから直接,発電電力を推定するモデルの2種類について比較した。とくに前者については,集光用レンズの表面に生ずる結露の影響を反映するため,その発生と解消の条件を設定した。比較の結果,日射の減衰を考慮したモデルの方が年間を通して発電電力の推定精度がよいことがわかった。これらの成果に基づき,CPVシステムの発電特性を表す電気回路モデルを作成した。
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