研究課題
本研究の目的は、微細SOI-MOSFETにおいて、ソース端リンドナーのエネルギーフィルタリング効果を低温および室温で確認して立ち上がり特性の急峻化を目指すことである。平成27年度に得られた主な結果は以下のとおりである。1)n+/i/n+構造の微細SOI-MOSFETを作製・評価した。チャネル幅Wが十分に小さければ、単電子トンネル電流がソース端付近のリンドナー量子ドットによって決まるとともに、比較的高温(~100 K)まで観察できることを示した(SNW WS 2015)。この結果は、本研究の目的で用いた仮説である「ソース端リンドナーのエネルギーフィルターの効果」が原理的に正しいことを示している。しかし、この効果を室温で安定的に利用するためには、量子ドットの位置やエネルギー深さを正確に制御するとともに最適化することが重要と思われる。2) リンドナー量子ドットの位置を制御するために選択ドーピング技術を用いてチャネル中央付近に量子ドットを形成し、電流電圧特性と量子ドットの電子状態の関係を明らかにした (NRL 2015)。また、ごく最近、このデバイスでWが十分に狭い場合は、中央付近の量子ドットを介した単電子トンネリングが室温でも観測されることを見出した(SNW WS2016にて発表予定)。これにより動作の温度の高温化をほぼ達成することができた。ただし、このFETは、量子ドットがソース端から離れているので、「FETの立ち上がり特性の急峻化」に結び付くか否かは明らかでなく、今後、量子ドットのチャネル内での位置の効果を詳しく調べることが重要となる。3) 現在、選択ドーピングのチャネル内位置を変えてFETを作製・評価している。予備的なI-V測定を進めている段階であるが、今後、エネルギーフィルタリングのためのリンドナー量子ドットの最適位置と室温動作を両立させるべく研究を進めていく。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 7件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 15件、 招待講演 5件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Applied Physics Letters
巻: 108 ページ: 093502-1-5
http://dx.doi.org/10.1063/1.4943094
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 17377-1~10
10.1038/srep17377
ECS Transactions
巻: 69 ページ: 189-195
International Journal of Technology
巻: 6 ページ: 1057-1064
http://dx.doi.org/10.14716/ijtech.v6i6.1305
Nanoscale Research Letters
巻: 10 ページ: 372-1-10
10.1186/s11671-015-1076-z
Applied Physics Express
巻: 8 ページ: 094202-1~4
http://dx.doi.org/10.7567/APEX.8.094202
Journal of Applied Physics
巻: 117 ページ: 244307-1-6
http://dx.doi.org/10.1063/1.4923229
Advanced Materials Research
巻: 1117 ページ: 78-81
10.4028/www.scientific.net/AMR.1117.78
巻: 1117 ページ: 82-85
10.4028/www.scientific.net/AMR.1117.82
http://www.morarulab.wordpress.com
http://www.rie.shizuoka.ac.jp/~nanohome