研究課題/領域番号 |
26820133
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
松本 敦 独立行政法人情報通信研究機構, 光ネットワーク研究所光通信基盤研究室, 研究員 (30580188)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Intermixing / 量子ドット / レーザ / 集積 / 光デバイス |
研究実績の概要 |
近年、量子ドット(QD)構造を用いた半導体レーザ(LD)の研究開発が進展し、その良好な特性が注目されている。また、光デバイスは単一素子でなく、様々な要素素子を基板上に集積し、高機能・高付加価値化を目指した研究がなされている。 本研究では、従来、量子井戸構造のレーザとその他の要素素子の集積に用いられることがあったIntermixing という技術を新たに1550nmの通信波長帯における量子ドット構造に応用し、量子ドットレーザとその他の素子の集積化が可能であることを実際に示した。通常集積素子を作製する際に用いられる結晶再成長による方法に対し、より簡易で短時間に、低コストに素子作製が可能である点で大きな有用性があると考えられる。 量子ドットレーザや量子ドット半導体光増幅器を集積した光集積素子の作製・実証とともに、このIntermixingという技術を詳細に検討し、本研究課題の期間内にそのメカニズムを明らかにすることも一つの目標としている。26年度において、XRD(X-ray diffraction)やSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)、電子顕微鏡などを用いて分析し、その物理的な挙動の一端を明らかにした。26年度の研究成果を元に、国際会議と国内会議にて発表を行っている。27年度はその知見を生かすことで、さらに良好な特性の量子ドットレーザ・半導体光増幅器集積光デバイスを作製・実証することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度の段階で、本研究課題の進捗状況はおおむね順調であると考えている。当初計画においては量子ドットレーザ集積光デバイスを作製・評価することであったが、それに先立ち本研究課題で用いるIntermixing技術について詳細に検討し、その物理的な性質を理解し、最適なプロセス条件を見出した方がより良好なデバイス特性が達成可能であると判断し、これを優先したことによるものである。それにより、順調に進捗していると考えており、また、26年度において取り組んだ課題に対してはおおよそ達成することが出来たため、27年度においても計画通り進捗可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究推進の方策については当初の計画通りに進める予定である。量子ドットレーザ・半導体光増幅器を集積した光デバイスのシミュレーションによる検討により素子設計を行い、実際にデバイスを作製し、素子の特性評価を行う予定である。量子ドットレーザ・半導体光増幅器を集積した光デバイスのような複雑な構成の光デバイスはその作製プロセスに時間がかかることが想定される。そのため、研究計画の迅速な遂行のために、デバイス作製プロセスの一部を外部に依頼することも考えており、より効率的に研究を推進していく必要があると考えている。作製した集積光デイバスの特性評価については、現在使用可能な測定機器で様々な評価が可能であると考えられるため、その点についての問題点は無いと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関が変わり、利用可能なプロセス装置・分析装置・測定装置が増えたため、当初計画していた装置の購入は無駄になってしまうことが明らかになった。そのため、予定を変更して本研究計画を効率的に進める上で必要な費用のために使用することとした。 (H26で購入を予定した装置:超精密手動スクライバが利用可能なため、H27で外注・分析にかかる費用を計画)
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題で研究開発している量子ドットレーザ集積光デバイスを作製する上で、必ず各プロセスでデバイス形状を観察する必要がある。27年度において、5000倍程度までの倍率のレンズを備え付け、計測・測長機能も有するデジタルマイクロスコープの購入を検討している。この顕微鏡の購入により、現在は高倍率での観察・計測に関してはSEMで行い、非常にデバイス作製を進める際に時間がかかり、非効率的であった。これを大幅に改善することが出来ると見込んでいる。 また、外部ファンドリーにプロセスの一部を依頼することで研究のスピードを加速させることが出来ると考えており、外注費用として使用することを計画している。
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