研究課題
近年、量子ドット(QD)構造を用いた半導体レーザ(LD)の研究開発が進展し、その良好な特性が注目されている。また、光デバイスは単一素子でなく、様々な要素素子を基板上に集積し、高機能・高付加価値化を目指した研究がなされている。 本研究では、従来、量子井戸構造のLDとその他の光素子の集積に用いられることがあったIntermixing という物理現象を用いた技術を新たに1550nmの通信波長帯における量子ドット構造に応用し、QD-LDとその他の素子の集積化が可能であることを実際に示した。通常集積素子を作製する際に用いられる結晶再成長による方法に対し、より簡易で短時間に、低コストに素子作製が可能である点が大きな有用性の一つである。本研究では、QD-LDや量子ドット半導体光増幅器を集積した光集積素子の作製・実証とともに、このIntermixingという物理現象を詳細に検討し、そのメカニズムを明らかにすることも一つの目標としている。27年度において、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)や電子顕微鏡による断面観察、そしてEDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)などの手法を用いて分析し、その物理的な挙動の一端を明らかにした。そして、この技術を利用し、QD-LDと光フィルタを同一の基板上にモノリシック集積した光集積デバイスを作製し、実際に光集積素子としての動作を確認した。これにより、本研究課題の目標を達成することが出来、この研究の有用性を示すことが出来たと考えている。また、H26~27年度の研究成果を元に、H28年度初めの国際会議に論文が採択され、発表予定であり、また既に国内会議においても成果発表を行った。
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