従来のホログラフィックデータストレージにおいて用いられる二次元信号光強度変調に加え,多値二次元位相変調を施す空間直交振幅変調に関して,ホログラム記録・再生された変調信号光の複素振幅を高精度に検出・復調する技術について光学実験及び数値シミュレーションにより検討を行った. フォトポリマをホログラム記録材料として用い,これに記録・再生された空間直交振幅変調信号光の複素振幅検出・復調をいくつかの光干渉計測手法により試みた.ピエゾ駆動ミラーによる位相シフト法,微小偏光子アレイ付きCCDカメラによるシングルショット位相シフト法,フーリエ縞解析法等により実験的検討を行った.これらの検討により,1ページ当たり16×16シンボルを有する空間直交振幅変調信号光において,強度2値変調に対し位相 8値程度の変調数まで比較的高精度に検出復調することが可能となった.更には本研究課題の主たる検討課題である位相シフト埋め込み法による空間直交振幅変調信号の検出復調についても実験的検討を行い,現段階で強度2値・位相4値の変調信号光をホログラム記録再生しこれを十分な精度で検出復調することが可能となった.高速フーリエ変換ビーム伝搬法を用いたホログラム記録再生及び再生信号光複素振幅の干渉計測シミュレーションも実施し,位相シフト埋め込み法が強度3値・位相32値変調程度までの空間直交振幅変調信号光を高精度に検出可能であることも明らかにした. その他,空間直交振幅変調信号光を干渉計測法に拠らず検出する新たな手法についての提案やその実験的検討,劣化した検出信号の最小二乗法による回復に関する検討など,様々な観点から空間直交振幅変調信号光の高精度検出法に関する研究を行い,新たな知見が得られた.
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