研究実績の概要 |
本研究の目的は,情報ハイディング技術と情報半開示技術を同時に実現するとともに,両者の機能を損なうことなく持続また向上させることができる技術の研究である.今年度は、主に以下の点について成果が得られた. (1) 符号化処理を前提とした前処理としての情報半開示法: 符号化処理を暗号化画像に対して施したとき,暗号化が施されていない原画像に対して施したときと比較して,その符号化効率が同等であるような情報半開示手法を研究した。前年度では,対応する符号化方式が,JPEG, Motion JPEG, JPEG 2000の三つの方式だけであったが,これらに加え,さらに JPEG LS, JPEG XRについても検討・実験を行い,符号化効率に影響が少ない良好な成果を得ている。この暗号化処理には現在擬似乱数を用いているが,これを埋込み情報と置き換えることで,可逆で,かつ,情報半開示とのハイブリッド化が可能な情報埋込み手法となる. (2) YIQ色空間の利用: 埋込みが行われた画像の画質劣化を抑制するため,YIQ色空間を用いた情報埋込み法について研究した。人間の視覚特性は,輝度情報であるY成分と比べて色情報であるI成分とQ成分に対する感度が低い.この特性を利用して,情報をI成分とQ成分に埋め込むことを検討し,埋込み画像の画質について検証を行った.この結果から,画質劣化が顕著に現れる閾値が明らかとなり,情報半開示とのハイブリッドを考慮した場合,そのための埋込み量や埋込み箇所についての知見が得られた.
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