研究課題/領域番号 |
26820142
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
宮路 祐一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50712923)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マルチホップ無線電力伝送 / 磁界結合 / 結合係数 / 位置推定 / 伝送経路制御 / オン・オフ制御回路 |
研究実績の概要 |
本研究は、磁界結合による無線電力伝送の伝送エリア拡大のために、受電器の高精度な位置推定を行い、その位置情報にもどついて中継用結合器の伝送経路を制御するマルチホップ無線電力伝送システムの開発を目的としている。また、本システムは複数受電器への給電に対応することを目指している。平成28年度では、より高い分解能の位置推定手法の開発に取り組んだ。平成27年度までの位置推定手法は、受電器がどのコイル上に設置されているかを推定するものであった。一方、平成28年度に取り組んだ位置推定手法は、コイルの大きさに依存せず、数センチメールオーダーの分解能を有する。どちらの手法も電力伝送システム上の反射電力を利用し位置を推定するが、新しい手法では反射電力を結合器間の距離に変換する式を導出し、多辺測量の原理を用いて位置を得られる。現在、電磁界シミュレータを用いた検証を進めており、マルチホップ(複数の中継器を使用)している場合においても受電器との距離が得られる変換式を導出し、コイル径に依存せずに位置が特定できることを明らかにした。また平成28年度は、電子情報通信学会が主催するマイクロウェーブ展2016の大学展示において、マルチホップ無線電力伝送システムに関する展示を行った。優れた展示発表を行ったとして奨励賞を受賞した。 今後の研究の展開として、これまでに開発してきた要素技術を統合したシステムを開発し、総合的な性能を評価することに取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度では、3×3の2次元マルチホップ無線電力伝送システムを展示会で発表することができた。この点に関しては予定していた推進方策に即している。しかしながら実施計画の一つである、無線制御による中継器のオン・オフ制御回路の作製に関して進捗が遅れている。この点を踏まえて、平成28年度の進捗状況はやや遅れていると判断した。 しかしながら、当初の計画にはなかった高分解能な位置推定手法の開発に関して進捗を得ることができた。これまでの学会での意見として電力伝送以外にも位置情報が使えることが望ましいという要求があり、その要求に応える手法として、コイルの大きさに依存しない位置推定手法を開発し数センチメートルオーダーの推定精度を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、無線制御による中継器の制御回路の作製を行う。無線制御にすることで、電力伝送システムを使用するユーザは完全にケーブルの接続を意識することなく使用することが可能となる。また、これまでに開発してきた複数受電器の位置推定ならびに伝送経路制御アルゴリズムを統合することで伝送エリアの拡大を実現する。全ての機能を搭載したマルチホップ無線電力伝送システムに関する研究成果を、これまでと同様に学会やマイクロウェーブ展などの展示会などで発信し、論文化にも努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、外部発表の回数が少なかったため、旅費や論文掲載量の点で次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
制御回路を無線化し、位置推定手法ならびに伝送経路制御アルゴリズムを搭載した総合システムに関する、学会発表、展示会、論文誌での発表を行う予定である。
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