研究課題/領域番号 |
26820145
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
葛岡 成晃 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60452538)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 情報源符号化 / 多端子情報理論 / ユニバーサル符号 |
研究実績の概要 |
放送型データ配信のためのユニバーサル可変レートデータ圧縮法の開発に従事した. ネットワークで動画像を配信するためのデータ圧縮問題は,多端子情報理論における有歪み情報源符号化問題(歪みを許す情報源符号化問題)として定式化できる.多端子情報理論における有歪み情報源符号化問題は一般的には未解決であるが,本研究では,特別なケースについて検討を行った. 本研究では,多端子有歪み情報源符号化の特別なケースの1つとして,復号器における誤りを許容する場合の,補助情報を伴う情報源符号化問題を研究した.特に,固定レートではなく可変レートにすることで,達成可能な符号化レートをどの程度改善することができるか検討した.研究の成果として,定常性や無記憶性を一切仮定しない極めて一般的な情報源に対して,符号化されるデータ長が有限の場合の符号化定理を証明した.さらに,その結果から,補助情報を伴う情報源符号化問題における達成可能最適レートの一般公式を導出した.この結果は,IEEE Transaction on Information Theory に掲載された. また本研究では,別のケースとして,観測されたデータそのものではなく,データに対して何らかの処理を施した結果のみが必要とされる場合について検討した.このケースは,分散関数計算問題として定式化できる.本研究では,ある条件下では,観測されたデータそのものが必要ない場合であっても,結局は観測データ全てを送受信しなければならないことに特に着目し研究を進めた.その結果,観測データ全てを送受信しなければならなくなる条件を明らかにした.この結果も,IEEE Transaction on Information Theory に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多端子有歪み符号化問題,とくに復号誤りを許す場合の補助情報を伴う情報源符号化問題と分散計算問題について成果を上げることができた.これらの結果はIEEE Transaction on Information Theoryに掲載されているほか,引き続き進められた研究成果を国内研究会・国際シンポジウム等で発表できている.これらより,研究はおおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,多端子有歪み符号化問題について,とくに復号誤りを許す場合の補助情報を伴う情報源符号化問題と分散計算問題とに着目して研究を進める.具体的には,平成27年度までの成果を引き継ぎ更に研究を進める.また,ユニバーサル符号化法に関する検討も進める.具体的には,ユニバーサル符号と密接な関係があることが知られている仮説検定・パラメータ推定に注目する.多端子情報源に対する分散仮説検定・パラメータ推定ついて考察することで,多端子情報源に対するユニバーサル符号化についても知見を得られることが期待される.
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