研究課題/領域番号 |
26820146
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡村 康弘 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (90706996)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 参照光時間インターリーブ信号 / 光アクセス網 / 波長分割多重伝送 / 光源位相雑音 / ディジタルコヒーレント変復調技術 |
研究実績の概要 |
本研究は,参照光が時間インターリーブされた多値光変調(インターリーブ)方式を基礎とした光アクセス網において,1テラビット毎秒超の高速伝送,50km超の光ファイバ伝送の可能性を見出す事を目的としている.平成26年度はインターリーブ信号の波長多重(WDM)伝送特性を解明するため,1.ディジタルコヒーレント受信による光源雑音の実測と2.符号速度10 Gbaudインターリーブ16QAM信号×32WDM信号の光ファイバ伝送特性の調査に取り組んだ.
1.公称線幅100 kHzの波長可変レーザの光源線幅を測定するため,公称線幅15 kHzの狭線幅半導体レーザとのビート信号をディジタルコヒーレント受信して位相雑音測定を行った.取得した位相雑音が波長可変レーザの公称値とほぼ同じ約100 kHzであった事,ビート信号のスペクトル形状がローレンツ型であった事から,波長可変レーザの位相雑音測定に成功したと言える.また,平成27年度に実施予定の「位相同期多波長光源の使用による波長チャネル間クロストーク劣化の抑圧」にて使用する光周波数コムの位相雑音特性についても先行して測定を行い,光周波数コムの複数の発振波長における位相雑音を取得した.
2.WDM伝送特性を調査する前にインターリーブ信号の単一波長チャネル伝送特性を数値シミュレーションにより検討した.光ファイバ伝送後のアイ開口ペナルティを評価したところ,伝送距離が符号速度10 GbaudのQPSK(20ギガビット毎秒)で約 20 km,16QAM(40ギガビット毎秒)で約 10 km,32QAM(50ギガビット毎秒)で約 5 kmであり,インターリーブ信号の単一チャネル伝送の段階で伝送距離が目標に及ばない事が判明した.しかしこれは伝送劣化の主要因である波長分散を一切補償しなかった場合の結果であり,波長分散補償技術の適用によって最大伝送距離の延伸は十分可能である.今後,波長分散補償技術の適用とインターリーブ信号のWDM伝送特性の明確化を急ぐ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の課題1.ディジタルコヒーレント受信による光源雑音の実測については完了し,2.の10 Gインターリーブ16QAM信号×32WDM伝送については検討途中である.遅延の理由は,インターリーブ信号の単一波長チャネル伝送において伝送距離50 kmの達成が困難である事が判明し,これを先に解決する必要が生じたためである.すでに技術的に確立された波長分散補償技術(ディジタル処理や分散補償ファイバによる方法)を適用する事によりこの問題を克服し,インターリーブ信号のWDM伝送特性の解明を急ぎたい.
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今後の研究の推進方策 |
1.インターリーブ信号のWDM伝送特性の検討(解析)…波長分散補償技術の適用したインターリーブ信号の単一波長チャネル伝送を数値的に調査し,50 km光ファイバ伝送の可能性を検証する.その後インターリーブ信号のWDM伝送シミュレーションを行う.
2.位相同期多波長光源の使用による波長チャネル間クロストーク劣化の抑圧(解析) …平成26年度の課題にて取得した光周波数コム(位相同期多波長光源)の位相雑音データを1.で作成したインターリーブ信号のWDM伝送シミュレータに適用する.1.と同様の評価を行い,未適用時と比較して,光周波数コム適用時の効果を確認する.
3.適応信号処理アルゴリズムの採用による波長チャネル間クロストークの補償(解析)…2.とは別に,受信端のディジタル処理による信号品質改善を試み,1.および2.の結果との比較を通してその有効性を検証する.
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