平成27年度(最終年度)は当初,研究計画の2つのオーバーヘッド削減法のうち2つ目の判定帰還データを利用した繰り返し通信路推定法による参照信号削減法の評価を行う予定であったが,1つ目の空間相関を利用した通信路補間による推定精度の改善効果が期待していたほど得られなかったために前年度に前倒して実施している.したがって,本年度は当初の本年度の研究計画の2. 提案した2つのオーバーヘッド削減方式を統合したシステムの構築と評価,3. 通信路推定に耐性のある変調方式及び誤り訂正符号化法の検討を実施した.まず,計画2の2つのオーバーヘッドを統合したシステムの検討については,平成27年度5月に電子情報通信学会ワイドバンドシステム研究会にて口頭発表を行った.その後,様々な追加特性を取得して,現在は国際会議での発表に向けて論文投稿中である.続いて計画3については,1つの信号点に複数のビットラベルを割り当てる拡張マッピング法や,複数ある送信アンテナのうち送信アンテナを選択する際に情報をのせる空間変調,直交周波数分割多重変調のサブキャリアのオンオフに情報をのせるインデックス変調などについて検討を行った.これらの研究成果については,3報の査読付き論文の発表,2件の国際会議での発表を行った.
2年間の研究通じて,本研究課題の目的であった大規模MIMO伝送のためのオーバーヘッド量の削減について基礎的な検討を幅広く行い,今後の研究活動の基盤となる数値データ等を明らかにできた.また,本計画課題のすべての検討項目を統合した際の結果については明らかにできなかったため,今後の課題として研究の発展が望まれる.
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