研究課題/領域番号 |
26820153
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
角江 崇 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40634580)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 3次元計測 / リアルタイム計測 / 専用計算機 |
研究実績の概要 |
並列ディジタルホログラフィは,1回の記録で動く物体の3次元動画像計測を可能にする技術である.本研究の目的は,回路設計者が構成を自由に設定可能な集積回路(FPGA)に基づいた,並列ディジタルホログラフィにおける像再生処理計算用の専用計算機を開発し,リアルタイム処理を実現する高精度3次元動画像計測システムを実現することである.平成26年度においては,設計した専用計算機の一部の処理をFPGA基板へと実装することに成功し,汎用のPCを用いる場合と比較して約50倍の高速化を可能にする専用計算機を開発した.また,実装できていない残りの計算処理については,回路シミュレーションによって設計回路の有効性を検証した.その結果,約7倍の高速化が見込めることを確認した.像再生処理計算全体に要する時間は約2ミリ秒と,秒間100コマを達成可能であるため,計算処理時間については十分な成果が得られている.設計した専用計算機の回路規模は,今回ターゲットにしたFPGAのリソースの10%未満であることも確認しているので,今後は,設計回路を同一のFPGA基板に複数個搭載することにより,計算処理のさらなる高速化が見込めることも分かった.これらの成果を,2015年4月に米国Baltimoreで開催されるSPIE DSS 2015にて発表予定である.一方で,計測システムを実現する上で必要不可欠である,偏光イメージングカメラを購入し,その動作検証を行った.1回の記録で,並列ディジタルホログラフィで必要な情報を正しく取得できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画に挙げていた,専用計算機の設計・シミュレーションによる評価については,研究実績の概要でも述べたとおり,達成できている.FPGA基板の実装については,すべての計算回路の実装には至っていないものの,実装した計算回路においては,従来と比較して50倍の高速化を実現できるなど,良好な成果を得ている.また,並行して計測システムに必要な偏光イメージングカメラの動作確認も完了しているため,総合して,おおむね順調に進展できていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
まずは設計した計算回路をFPGA基板へ実装し,専用計算機を開発する.計算時間に関しては,当初目標としていた毎秒30コマを十分達成できる見込みがあるが,偏光イメージングカメラと専用計算機,専用計算機とホストPCとの通信処理,データ転送にかかる時間を考慮すると,目標数値を達成できない可能性がある.そこで,計算回路の実装と並行し,各デバイス間の通信を考慮した,新たな計算処理回路の設計を目指す.申請者の研究グループにおいては,3次元ディスプレイ用の専用計算機の開発も行っている.そちらでもデータ転送処理時間については課題の一つであるため,研究協力者と連携して,像再生計算以外に要する処理時間の削減について,申請者を筆頭にグループ一丸で取り組む. 専用計算機の開発後には,偏光イメージングカメラを用いて構築した計測システムへと専用計算機を導入し,高精度3次元動画像リアルタイム計測システムの実現を目指す.
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