研究実績の概要 |
本研究では,生体ネットワークやソーシャルネットワークをはじめとしたネットワーク系に対する解析/制御への関心の高まりを背景に,ネットワーク系外部から印加される入力データと観測される出力データを利用して,その内部構造を同定する手法の開発を進めている.ネットワークを構成するノード(サブシステム)の状態量をすべて同時に測定あるいは操作することは,系の次元が大きくなるにつれて経済的にも技術的にも難しくなる.この観点から,本研究では,ノード数に対してセンサ数やアクチュエータ数が少ない状況を想定している. 平成26年度は,線形無向ネットワーク系を対象にした同定手法の開発に加え,手法の適用可能範囲を拡張するために,系がもつネットワーク構造識別に関わる特徴量を追究した.提案手法は,まず,同定対象であるネットワーク系と,一部のノードに関してそのダイナミクスを別のダイナミクスに置換したノックダウン・ネットワーク系を準備する.そして,解析によって明らかになった,両ネットワーク系の出力時系列信号の差異とネットワーク構造の間にある関係を利用して,その構造を部分的に同定する.提案手法の拡張性を探る目的において,手法を機能させている本質的要素の抽出を試みる一方で,他研究グループによって開発されている,状態量を測定可能なノード間の干渉の度合いを動的なエッジ(伝達関数)として再現する手法との比較検証も行った.成果の一部を下記にて報告した. M. Suzuki, J. Imura, and K. Aihara, Network structure identification from a small number of inputs/outputs, in Analysis and Control of Complex Dynamical Systems: Robust Bifurcation, Dynamic Attractors, and Network Complexity, K. Aihara, J. Imura, and T. Ueta (Eds.), Springer Japan, 2015.
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