平成26年度の研究成果では,出力スケーリング手法が定常偏差の改善に有効であることが確認されたが,制御系設計手法の確立が困難であった.そこで,本年度は,当初の研究計画に沿って,多自由度ロボットや小型ヘリコプターの設計・製作を実施するとともに,スケーリング手法と同等以上の性能を持ち,制御系設計が容易なハイパスフィルタ(HPF)手法を検討した. 有効性が確認されたスケーリング手法のロボットアプリケーションへの適用を検討するためにロボットの設計・製作を実施した.現在,多自由度ロボットおよび小型ヘリコプターの設計・製作の途中であり,実機実験は実施できていない. スケーリング手法では,通信外乱オブザーバ(CDOB)の出力を非線形なスケーリング項を用いて減少させ,定常偏差を改善した.しかし,非線形項のため制御系設計が困難であるという問題点があった.そこで,定常偏差の原因がCDOB出力の直流成分であることに着目し,スケーリング項に(HPF)を適用した.結果として,定常偏差が改善するとともに,過渡応答も改善が見られた.また,位相余裕・ゲイン余裕やH∞ノルムに基づいて制御系を設計することが可能となった.
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