研究課題/領域番号 |
26820172
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
横山 直幸 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 助教 (90710591)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工臓器 / 磁気制御 / 血液 / 先天性心疾患 |
研究実績の概要 |
研究計画1年目の平成26年度は、実現目標である小児用磁気浮上型人工心臓開発の第1段階である「2軸(X-Y)能動制御+3軸(Z-θ-φ)受動制御式の磁気軸受の開発」を行った。この開発における中心的課題である2軸能動制御を実現するため、制御対象である永久磁石を内包するインペラと、インペラを能動磁気支持するための電磁石4対を組み合わせた磁気軸受の設計と試作を行った。 永久磁石と電磁石の磁気剛性は3次元磁場解析ソフトウェアを用いて行い、人工心臓として磁気軸受を組み込みためのデバイス設計には3D CADソフトウェアSolidWorksを用いた。 また、制御対象であるインペラ(永久磁石)の位置検出には、渦電流センサ(電子応用株式会社)を用い、センサから得られた電圧信号からインペラ位置を検出し、X-Y軸中心からの変位を修正する方向に電磁石から磁場をかけるための制御回路の作成も行った。制御アルゴリズムの設計はシステム開発ソフトウェアLabViewを用いて行い、実装には同DAQを用いた。 自作した電磁石の通電電流に対する発生磁力(磁気剛性)の関係、インペラ-渦電流センサプローブ距離に対するセンサ電圧の関係が不明であるため、これらを定量するための実験システム構築を行った。この結果は、前述の制御アルゴリズムにおいて係数入力に必須のパラメタとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は高専本科5年生の卒業研究とリンクする形で行っている。工学的知識や技術が未熟である高専生に、デバイス設計のためのCAD技術、磁場解析のためのシミュレーション手法、磁気制御を実現するための制御理論を教授しつつ研究を遂行するため遅延が生じている。特に、1年目に行うべき内容(人工心臓の設計、磁気軸受の設計とシミュレーション、試作機の制作)は高難易度であったため時間を要した。 しかし、本研究をモチーフにした研究教育の効果は絶大であり、今後も学生とともに1段階ずつ着実に研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究2年目にあたる平成27年度は、初年度に設計・試作した磁気軸受を完成させた後、第2段階として、磁気軸受により浮上した状態のインペラ(永久磁石を内包)を回転させるための「ダイレクトドライブ機構」を設計・試作する。本段階はインペラをロータ、内側にステータを配置したモータを設計することにほかならず、難関となる点としては、磁気軸受とダイレクトドライブの磁気干渉が挙げられる。しかし、磁気軸受設計および磁場解析の段階において、インペラ外部に磁気軸受、インペラ内部にダイレクトドライブ機構を配置することで、磁場干渉を最小限にする設計としたため、前述の問題点は回避可能と考えられる。 平成27年度も、卒業研究の一環として、高専本科5年生の協力の元、本研究を遂行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に実現予定であった小児用遠心式血液ポンプへの①磁気軸受導入②ダイレクトドライブ機構の実現のうち、②に着手することができなかった。このため、デバイス試作を目的として申請した初年度分予算のうち、半額弱を次年度使用額へ振り返ることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、初年度である平成26年度に試作する予定であったダイレクトドライブモータ機構の設計及び試作を行う。最終年度には本研究にて導入した2つの機構(磁気軸受・ダイレクトドライブ)が血液に対して及ぼす影響について実験的に検討する予定である。このため、平成27年度中にデバイス試作を目的とした申請予算の執行と、試作機の完成を目指すものである。
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