本研究は,スパース推定手法として注目を集めているLASSOにおいて,その正則化パラメータのシステマチックな設計手法の開発,およびリアルタイムシステムに適用するための逐次計算手法の開発を目的としている.平成27年度は,L1正則化付き線形回帰に対して,逐次的に計算可能なアルゴリズムを検討した.具体的に得られた成果は以下の通りである. 1.L1正則化付き線形回帰における評価関数の上下限を導出し,この上下限の最小解をL1正則化付き線形回帰の近似解として採用した.また,この近似解が最小二乗法と近接点法を用いて解析的に計算できることを示した. 2.上記において,最小二乗法を逐次型に変更することで,L1正則化付き線形回帰の近似解を逐次的に計算するアルゴリズムを導出した. 3.従来手法である確率的勾配法を用いた手法と比較し,数値シミュレーションにて性能を評価した.提案手法は収束性が良く,また刻み幅などの調整パラメータを要しないことを示した.
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