Ca-Mg-Si系材料であるオケルマナイトをケイ石微粉末と共にセメントに置換し、オートクレーブ(AC)養生を実施した試料について水和反応解析による検討を行った。また、トバモライトの生成過程とAC養生昇温過程が終了した時点での結合材の反応とを関連づけて考察することを目的とした。その結果、ケイ石微粉末の量を減らした配合においては、オケルマナイト高置換においてトバモライトの生成量が増加した。これはオケルマナイトの置換により、AC養生昇温過程におけるケイ石微粉末の反応が抑制されたため、結果として生成したC-S-HのC/S比が高く維持され、その後の養生温度保持過程時におけるトバモライトの多量生成へ至ったものと考察した。 さらに、これらの配合に対して硫酸塩浸漬試験を行い、浸漬前後の水和物・二次生成物および原子の結合状態と関連づけて考察・評価をした。その結果、Ca-Mg-Si系材料を置換し、AC養生を施すことで耐硫酸塩性は向上した。天然資源であるケイ石の置換率を減らし、CaO-MgO-SiO2系材料の置換率を増やしても耐硫酸塩性に優れる結果となった。また、硫酸塩抵抗性の向上は、Na2SO4浸漬、MgSO4浸漬ともにトバモライトの生成とトバモライトと同等のSi-O結合量を有したケイ酸カルシウムマグネシウム水和物などの生成に起因するものと考察した。またMgSO4浸漬については上記の理由に加え、ある程度のセメント量を確保することで硫酸イオンの浸透が制御されるものと結論づけた。
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