研究課題
今年度は,新技術に関わる情報の共有及び提供を目的として活用されているデータベースである,新技術情報提供システム(New Technology Information System: NETIS)を利用し,コンクリート構造物の補修工法のうち表面含浸工法として登録されている技術について調査した。その結果,表面含浸工法として34の技術が登録されており,そのうち半数がアルカリシリカ反応(ASR)に対して効果があると申請されていることが明らかとなった。しかしながら,ASR抑制効果は,表面含浸材によりコンクリートへの水分供給が抑制されることによるものと推察され,ASRの反応自体を抑制することを直接的に示した材料や工法は認められなかった。昨年度に開発した工法(アルカリ溶脱と水分供給を制御した試験方法:AW-CPT法)については,急速膨張性の骨材の場合に養生温度を高くし過ぎるとASRゲルの塑性変化や溶出が生じ,実際の膨張ポテンシャルよりも低い膨張量が測定される可能性があることを実験的に示した。表面含浸材(固形油脂をベースとし変成シリコンを混合したもの)のASR抑制効果を明らかにするため,本材料を塗布したコンクリートのASR加速試験を行った結果,表面含浸材を塗布した場合の方が無塗布の場合よりも膨張量が大きくなる現象が認められた。これは,塗布によりコンクリート内部の水分の蒸発を阻害したことが一因であると考えられ,加速試験開始時,および試験中におけるコンクリートの含水率についてさらなる検討が必要であると考えられる。
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Proceeding of 27th Biennial National Conference of the Concrete Institute of Australia in conjunction with the 69th RILEM Week
巻: 1 ページ: 822-831