研究課題/領域番号 |
26820180
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
橋本 紳一郎 福岡大学, 工学部, 助教 (70435387)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンクリート / 圧送 / 振動加速度計 / 加速度 / 周波数 / ベント管 / テーパ管 / 直管 |
研究実績の概要 |
現在、施工現場で簡易に圧送性を評価する手法は存在しないことから、本研究では振動加速度計の計測によりコンクリートのポンプ圧送性を現場で簡易に計測し、瞬時に評価できる計測システムの提案を目標とし、実験的検討を行う。 27年度は、26年度の室内試験での検討結果を踏まえて、実機での試験圧送による検討を実施した。なお、26年度に予定していた室内試験での検討項目の実験は全て予定通り実施したため、27年度に引き続き室内試験での検討を行う内容はない。実機での試験圧送は、申請書に記したようにポンプの筒先をポンプ車のホッパーに取り付けて固定し、コンクリートが長時間繰り返し圧送できる循環式の配管方式により実験を行った。循環式の配管方式で幾つかの配管条件を設定し、配管条件の影響を検討した。各配管条件に対して、配合条件の影響も検討した。これらに対して、計測位置はベント管やテーパ管等の進行方向に対する抵抗の大きい変形管、進行方向に対する抵抗の小さい直管で計測し、計測位置の影響も検討した。 その結果、コンクリートの配合条件により圧送性は異なり、特にセメント量が少ない場合や細骨材率が小さい場合は圧送の乱れが大きくなり、細骨材率が小さい場合(細骨材率が40%以下)では閉塞を起こすことを確認した。これらの閉塞を生じた場合の加速度の乱れは、直管よりもベント管に取り付けた振動加速度計の計測結果で顕著に表れていることを確認し、また、その計測データをさらに解析した周波数と加速度の値でも確認できた。配管条件については、水平方向に配管したものだけではなく、鉛直方向に上方向と下方向に配管した配管条件でも検討を行った。その結果、水平方向に配管した場合に比べて、鉛直方向の場合、特に下方向の配管では順調に圧送されていても、加速度の乱れが非常に大きくなるなど、配管条件の特性を計測結果により確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は、26年度の室内試験での検討結果を踏まえて、実機での試験圧送による検討を実施した。実機での試験圧送では、申請書に記したようなポンプの筒先をポンプ車のホッパーに取り付けて固定し、コンクリートが長時間繰り返し圧送できる循環式の配管方式により検討を行った。また、1) コンクリートの配合条件による検討、2)計測機の測定方法、測定位置による検討、3)配管条件による影響の検討の3検討項目を中心に検討した。特に3)配管条件による影響では、6種類の配管条件により検討を行った。 これにより、27年度に研究計画で予定していた3検討項目は、おおむね順調に進めることができ、それらの計測データを収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策について、研究期間の最終年度である28年度は、27年度に引き続き、1)コンクリートの配合条件による検討、2)計測機の測定方法、測定位置による検討、3)配管条件による影響の検討の3検討項目について、現場を模擬した試験圧送によって検討を行う。その中でも、27年度では実施に至っていない長距離圧送や実際の施工現場を用いた振動加速度計による計測を行う予定である。 これらの結果とこれまでの結果を踏まえて、総括として振動加速度計を用いて確実に圧送性を評価することのできる計測条件を示し、また、コンクリートの配合条件や配管条件による影響までを考慮した圧送の安全性と閉塞危険性を検知できる圧送性の指標を示す予定である。
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