複雑な三次元形状を有する鋼橋の溶接部に対し,溶接残留応力の低減により疲労寿命を向上させることを目的に,小型で簡易な熱源を用いて施工できる局所熱処理技術を開発した. 疲労損傷が多く報告されているUリブ鋼床版を模擬した供試体を対象に,簡易熱源を用いた熱処理実験を行うとともに,熱処理プロセスを熱弾塑性解析によりシミュレーションする方法を構築した.簡易熱源を用いた熱処理により,溶接部の残留応力が約80%低減されることを確認した.また,熱弾塑性解析シミュレーションにより,熱処理における省エネルギーが可能になる断熱方法を提案した.疲労試験を行い,熱処理を施した供試体は作用応力範囲が低い場合に疲労寿命の向上効果が得られることを示した.
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