前年度(平成27年度)の3月に掲載された構造工学論文集Vol.62Aの論文(Proposal of Strength Equation for Gusset Plates Subjected to Compressive Force in Steel Truss Bridges)において,圧縮を受ける鋼トラス橋のガセットプレートの耐荷力評価式を提案し,その適用性をガセットプレートの板厚を変化させたパラメトリック解析により検証した.結果,提案した耐荷力評価式は,ガセットプレートの板厚が比較的大きい場合には,ある程度正確に圧縮を受けるガセットプレートの耐荷力を算出できることが分かった.しかしながら,①H26年度の載荷試験により得られた耐荷力曲線の最大値が,FEM解析から得られた最大値をかなり下回っていた(破壊モードは良く一致していた)こと,また,②実験とFEM解析から得られる耐荷力曲線の初期剛性に差異があることの2点について解決すべき課題が残ったため,今年度(平成28年度)は引き続きそれらの2つの課題について検証を行った. ①については,載荷板の四方の取り付けられた変位計や,計測されたひずみを分析した結果,荷重が偏心してして載荷された可能性が高いことが示唆された. ②については,FEMの計算方法を変える,ひずみ硬化測の種類を変える,初期たわみの影響を考慮するなど,様々な検討を行ったがいまだ明確な原因は判明していない. 今年度の対外的に発表した成果物はないが,当該研究費での研究目標は上記論文およびその前に投稿された鋼構造論文集の論文で達成されている.
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