研究課題/領域番号 |
26820190
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
磯部 公一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70452084)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 地震被害 / 粘性土 / 繰返しせん断 / 圧密沈下 / 土の構造 / 繰返し三軸試験 / 遠心模型実験 / 有効応力解析 |
研究実績の概要 |
1.中越沖地震後に地下水位の変動と関連しない地盤の長期沈下が発生した新潟県柏崎市において,不かく乱粘性土試料を採取した.また,積雪,融雪期における地下水位や粘性土層中の間隙水圧の変動を観測した.その結果,消雪のための地下水利用による地下水位の変動と間隙水圧の変動は相関性が高く,想定された過剰間隙水圧の残存は認められなかった.また,粘性土地盤の沈下も概ね収束していることを確認した. 2.不かく乱試料に対し,圧密試験,静的・繰返し三軸試験を実施した.当該地盤は既存のデータと同様,やや高位な構造を有する粘性土地盤であることが認められた. 地震外力・地下水位低下による粘性土地盤の圧密沈下挙動を再現する遠心模型実験において使用する地盤材料の選定を目的に,人工的に構造を有する粘性土供試体を作製し,繰返しせん断履歴による過剰間隙水圧の上昇ならびに圧密排水挙動を把握した.その結果,構造を有する粘土では,繰返しせん断に対する脆性的な変形挙動と,二次圧密のような排水圧密の時間遅れ現象が確認された. 3.再構成カオリン粘土地盤の地下水汲み上げによる圧密沈下挙動を遠心模型実験により再現した.その結果,透水性の高いカオリン粘土使用による良好な作業性と,地下水の汲み上げを模擬した排水機構の有用性を確認した. 4.不かく乱試料に対する要素試験の結果を用いてパラメータの設定精度の向上に努めた.地震後の長期沈下挙動も概ね沈静化していることを踏まえ,地震による繰返しせん断履歴のみを考慮した粘性土地盤の圧密沈下挙動の再現解析を有限要素解析により行い,沈下挙動の予測精度を向上させた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に記載した本年度の研究実施計画のすべての項目について基礎的な検討を実施しており、各項目の研究目的の達成に結びつくような具体的な研究成果があがりつつある.また,本格的な検討の準備も整ってきたことから、「おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究目標達成には、観測データの分析,実験,解析による各種アプローチ手法で相互補完する必要があるが,本研究では、各項目を検討する機関が複数個所に分散していることから,各研究項目間の連携性の向上と周到な準備が重要となる.今年度同様,今後も効率的な研究計画に基づき,各機関との連携を密にとりながら本研究を推進する。また,本研究で得られた成果を積極的に公開し,現地の広域地盤沈下対策に関する行政判断に資する情報を提供する.
|