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【研究の目的】住宅地盤の経済的な液状化危険度判定を実現することを目標として，地盤調査中に土中で生じる土と金属の摩擦音の音響特性から土の分類（細粒分含有率）を評価する技術の開発を目的とした現場実験と室内模型実験を実施した。本研究では大型動的コーン貫入試験（SRS試験）を対象とし，SRS試験のトルク計測中に土中で生じるステンレス鋼製の貫入コーンと周辺地盤の摩擦音の特性から地盤の粒度特性値を推定しようとするものである。
【実施内容】最終年度は，①個々のSRS貫入コーンの伝達関数の同定，②室内模型実験による砂質土とSRSコーンの摩擦音特性に与える平均粒径，均等係数および相対密度の影響の検討，および③SRS実機による実地盤での摩擦音計測実験（大阪府大阪市，長野県諏訪市，熊本県益城町）を実施した。さらに，前年度までに得られた成果を総合して，④SRS試験による摩擦音を用いた実地盤の細粒分含有率の評価，およびそれを用いた液状化判定を行った。
【模型実験により得られた成果】人工的に粒度を調整した砂質土を用いてSRSコーンと砂質土の摩擦音に与える種々の影響因子を検討した結果，音圧レベルは平均粒径，細粒分含有率，密度，拘束圧の影響を受け，平均粒径が大きいほど，細粒分含有率が小さいほど，密度が小さいほど，拘束圧が高いほど大きいことがわかった。
【細粒分含有率の評価と液状化判定】SRS試験により得られた実地盤の音圧レベルと地盤の細粒分含有率の関係式を作成して液状化判定を実施した結果，個々の地盤に対しては標準貫入試験結果に基づいた液状化判定と同等の液状化安全率を得ることができた。しかし，コーンの伝達関数の精度が不十分であり，異なるコーンを用いた摩擦音の音圧レベルと地盤の細粒分含有率の関係を一義的に表現するに至らなかった。本研究の目標達成のためにはコーンの伝達関数を高精度に測定する手法の開発が必要である。
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