1.津波を模擬した造波模型実験 ジオシンセティックス補強土一体橋梁(GRS-IB)模型と、従来形式(桁が支承を介してL型橋台に設置されている)模型に対して、段波により津波を再現した実験を行った。GRS-IBは従来形式よりも大きな津波(越流)に対して安定であった。従来形式では津波到達直後に桁が流失し、被覆工や橋台の隙間から堤体材料が流失することで最終的に橋台も流失したが、GRS-IBでは桁は流失せず、また、従来形式よりも大きな規模の津波に耐えた。一体橋梁の場合、桁が流失しないため越流中の波力を継続して受けるが、その大きさはほぼ静水圧と同程度であり、橋台がジオテキスタイルを介して背面土と一体化されているため、背面土の重量とあわせて抵抗したものと考えられる。一連の実験より、GRS-IBは一般的に従来形式と比較して橋台の自重が小さい。また、桁が残留するため滑動に対して不安定になるが、桁と橋台が一体化されている、補強材により橋台と背面土、被覆工と背面土一体化されているなどの特徴を有するため、各部材の変位を抑制する効果があったと考えられる。ただし、GRS-IB、従来形式のいずれに対しても、基礎地盤の洗掘対策が別途必要である。 2.橋軸直行方向の橋台水平載荷試験と補強材単体の面内せん断試験 補強土橋台(壁面工)模型に橋軸直交水平方向に強制水平変位を与え、壁面に作用する土圧および補強材張力を計測した。補強土橋台では、橋台の水平変位に伴って壁面水平土圧が増加し、壁面摩擦が増加することによって、背面土が無補強の場合より横荷重に対する抵抗性が向上することがわかった。ただし、補強材と橋台との定着強度が十分である必要がある。また、補強材単体の面内せん断試験結果から補強材の面内せん断変形に伴う補強材張力の増加と壁面水平土圧増加に伴う壁面摩擦の効果をモデル化し、水平載荷試験結果を数値計算によって再現した。
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