研究課題/領域番号 |
26820195
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三戸部 佑太 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60700135)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 画像計測 / 浮遊砂濃度 / 3次元計測 / 水理実験 |
研究実績の概要 |
砕波下のような複雑かつ3次元的な流れの下での浮遊砂の輸送過程を明らかにすることを目的として3次元的な浮遊砂濃度分布の画像計測手法の開発を行った.開発する手法ではプロジェクターからカメラに対する奥行方向に色合いを変化させた照明を照射し,その浮遊砂による散乱光をカメラにより撮影する.撮影画像内での各色毎の輝度分布から各色の層毎に2次元的な浮遊砂濃度分布を取得し,これを予め取得しておく各色の奥行方向座標に基づいて合成することで,3次元的な浮遊砂濃度分布を決定する. 本計測手法をマグネティックスターラーにより撹拌した小型水槽内の浮遊砂濃度分布計測に適用し,その実用性を確認した.本計測法により時々刻々と変化する浮遊砂濃度について,その瞬時の3次元的な空間分布を取得可能となった.ただし,カメラ撮影およびプロジェクター光照射方向に対して奥行方向に計測浮遊砂濃度が小さくなる傾向が明らかになった.これは水中の浮遊砂濃度が大きいとその奥側でカメラ撮影及びプロジェクター照明の陰になる領域が生じるためである.一方でカメラ撮影およびプロジェクターによる照明光の照射の手前側では影による影響がないため,手前側から順に浮遊砂濃度を決定し,決定した浮遊砂濃度を元にその奥側における浮遊砂濃度を補正する補正手法を開発した.これにより,奥行方向への浮遊砂濃度の不自然な減少が見られない妥当な分布を取得することが可能となった. また本手法により取得できる3次元浮遊砂濃度分布の時間変化から,浮遊砂フラックスの取得が可能となる.本研究で開発した計測手法は多様な移動床での水理実験における基礎的なツールとなりうるものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的である3次元浮遊砂濃度の画像計測手法について,一連の画像解析手法の開発を行い,その適用性の確認のための実験を実施済みである.浮遊砂濃度が大きくなるとその浮遊砂による影の影響でカメラ撮影およびプロジェクター光照射方向に対して奥側に位置する領域で浮遊砂濃度の過小評価が生じることが明らかになったが,これに対する補正手法を開発し,これに対応した.3次元浮遊砂濃度計測手法の開発については概ね実施できており,順調に研究が進展しているといえる.また,取得した3次元浮遊砂濃度分布計測手法から浮遊砂フラックスを取得する計算手法の開発を行っており,次年度の本手法の砕波実験への適用に向けた準備を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
計測3次元浮遊砂濃度分布からの浮遊砂フラックス算定手法について精度検証を行い,必要に応じてその改良を行う.その後,開発した3次元浮遊砂濃度分布計測法およびこれに基づく浮遊砂フラックス算定手法を砕波実験に適用していく.
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