研究課題
電子制御による有機汚泥の浄化特性を室内実験により明らかにすること,流れや微生物等の自然条件を持つ沿岸域に分散した有機汚泥を浄化するための浄化技術を提案することを目的として研究を行った.本年度,電子制御(有機汚泥から電子回収と有機汚泥への電子供給)による有機汚泥の浄化特性を室内実験により明らかにした.電子制御の電荷量と有機汚泥性状の変化量との関係を検討し,具体的には,以下に示す電子制御による有機汚泥の浄化特性を明らかにした.(1) 電子回収による有機汚泥の性状変化:①有機汚泥から電子を回収することにより,高い酸化還元電位の土壌に変えることや生物生息を阻害する硫化水素を除去できること等が確認され,電子回収は有機汚泥の還元環境を改善できる.②電子回収により泥層から水層へのイオン拡散を制限でき,泥層の還元環境を改善するとともに有機汚泥による水質悪化を低減させる効果がある.③有機汚泥の還元環境の改善は有機汚泥の燃焼特性を変化,間隙水中の鉄イオンを増加させることから,電子回収は結合された金属イオンと有機物を分裂(有機汚泥の有機物形態を変化)させる可能性が高い.(2) 電子供給による有機汚泥の性状変化:有機汚泥へ電子を供給することにより有機汚泥のpHの上昇と間隙水内のCODの増加を誘発できることから,有機汚泥への電子供給は有機汚泥の酸性化を改善,有機物を低分子化を促進する技術として利用できる.(3) 電子制御(繰り返しの電子回収・供給)による有機汚泥の性状変化:有機汚泥で電子回収→電子供給→電子回収の順に電子制御を行うことにより,有機汚泥の酸性化を低減,間隙水内のCODを増加させることができる.繰り返しの電子制御は微生物の活性化と有機物の分解を誘発できる可能性が高い.
2: おおむね順調に進展している
当初計画した室内実験により電子制御による有機汚泥の浄化特性を解明する目標がおおむね達成した.
当初計画に基づき研究を進める.次年度に計画した火力発電の廃棄物を固めて造粒した石炭灰造粒物を併用したときの電子制御による有機汚泥の浄化特性を明らかにする.さらに,自然河岸に適した電子制御システムを開発し,本システムによる有機汚泥の浄化能力を評価するための実験を行う.
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