研究課題
本研究では,沿岸域に分散した有機汚泥の浄化技術を開発することを目的として室内実験と現地実験を行った.有機汚泥から電子回収と有機汚泥への電子供給に伴う有機汚泥の性状(酸化還元状態,有機物形態等)を検討し,電子制御(電子回収と電子供給との併用)による有機汚泥の浄化特性を明らかにした.具体的には(1)有機汚泥に電子制御を行うことで最適な有機汚泥の酸化還元状態を調整できるとともに,有機汚泥内での分解しやすい・微生物が使用しやすい有機物の生成を促進させることを見出した.(2)有機汚泥から電子回収を行うことによりアノード電極で還元物質が酸化されるため,有機汚泥の還元性が緩和されるのみならず,有機汚泥からの物質拡散による水質悪化も改善されることが明らかになった.強い還元性を持つ有機汚泥に電子回収の適用により生物が生息できることを現地実験結果でわかった.(3)有機汚泥への石炭灰造粒物の混合は電子回収に伴う有機汚泥の酸性化を緩和,有機物分解の過程で生成される栄養塩類を固定する効果があり,電子制御における有機汚泥の栄養循環を抑制できることを見出した.さらに,石炭灰造粒物は成分の溶解により電極への電子伝達速度を向上させることがわかった.(4)実用化に向けた有機汚泥の浄化技術として太陽光を併用した電子制御システムを提案した.有機汚泥の浄化に対する本システムの効果が高いことが室内実験により明らかにされた.
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土木学会論文集B2(海岸工学)
巻: Vol. 71,No. 2 ページ: 1417-1422
10.2208/kaigan.71.I_1417
巻: Vol. 71,No. 2 ページ: 1465-1470
10.2208/kaigan.71.I_1465
巻: Vol. 71,No. 2 ページ: 1477-1482
10.2208/kaigan.71.I_1477
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻: Vol. 71,No. 2 ページ: 910-915
10.2208/jscejoe.71.I_910
土木学会論文集B1(水工学)
巻: Vol. 71, No. 4 ページ: 697-702
10.2208/jscejhe.71.I_697