研究課題/領域番号 |
26820211
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 俊之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10419062)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IC card data / Public Transportation / Trip Destination |
研究実績の概要 |
交通系ICカードデータは料金支払いのシステムとして導入され,全国で普及が進んでいる.その一方で,システムから収集されるデータ(ICカードデータ)は,利用時間や乗降実態等,人々の行動把握が可能な貴重なデータである.一方で,交通事業者にとって,収集されたデータが十分に活用されているとは言い難い.具体的な事例の1つとして,バス交通において,乗車時もしくは降車時のみICカードを機器にタッチして料金を支払う場合には,乗車停留所,降車停留所のいずれかのデータしか取得できず,利用者がどの停留所で降車(乗車)したのか,さらには利用者の起終点情報については把握できない. 本研究では,その問題点に対して,乗車時にしかデータが収集されていないとの仮定のもとに,停留所別降車人数の推計を試みるものである.推計には,近年大量かつ継続的なデータに対して適用されることが多い機械学習による手法を用いることとしており,平成26年度にベイジアンネットワークを用いたOD推計手法に続き,本年度(平成27年度)ではニューラルネットワークを用いたOD推計手法を適用し,より精度の高い推計手法の構築を目指した.乗車規模別に推定を行った結果,現状で乗降停留所が一致していると仮定した場合と比較して,誤差率に改善がみられ,今回推計した手法を適用することで,より精度面においては有意性が確認された. また,本年度は平成26年度において,適用したベイジアンネットワークによる手法を用いた推計手法に関する研究成果を国内口頭発表2件,海外口頭発表1件により,公知化を行うとともに,議論を通じて,平成28年度の研究包括に向けて継続的に取り組んでいく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
利用データも拡大し,ベイジアンネットワークに引き続き,ニューラルネットワークにおける推計手法の構築行うことができた.平成28年度は,構築したモデルを新たなエリア,もしくは新たなデータに適用を行い,構築したモデルの実社会への適用度について実証する. 平成27年度成果についても,公知化を行い,各種学会等で発表を通じて,モデル改善点を精査する手順を想定する.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は新たなエリアへの適用,もしくは新たなデータに適用を想定しており,現在異なるエリアデータの可能性について模索している段階である.データの特性(個人情報保護やデータ蓄積等の問題)により,新たなデータの利用が困難な場合は同一地域における新規データを再度適用することで,これまで構築したモデルの有意性を再度検証する. 移動目的の推計については,利用頻度の指標で置き換えを想定しており,そのための利用者の移動時間やパターンの分析を行うこととする. 昨年度までの口頭発表内容について,より上位レベルのJournalへの投稿(Big Data ResearchやTravel behavior and sciences)を予定している.
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