本研究では「除染廃棄物の仮置場を対象とした火災防止のための保管方法」及び「廃棄物層における発火時の熱源特定手法」に関する研究を行った。 平成26年度に実施した除染廃棄物仮置場を模擬した大規模実験は実験場の制約から土のフレコン主体の仮置場に草のフレコンを部分的に配置したものであった。平成27年度では新たに実験場を確保し仮置場の実態に即して草のフレコン主体でその周りに土のフレコンを配置した実験を実施し、仮置場における熱挙動データの蓄積を図った。また仮置場実験における熱挙動を再現可能な数値モデルを構築し、数値モデルを用いた数値シミュレーションにより、草のフレコンの積み上げ高さやフレコン間の間詰めの有無が仮置場の内部温度に及ぼす影響を定量的に明らかにした。 本研究で提案した地表ホットスポットを用いた廃棄物層内の熱源位置推定手法による熱源位置の推定精度に関する検討として、平成26年度に明らかにしたガスの抜け道の位置、熱源温度及び熱源におけるガス発生速度が熱源推定位置に及ぼす影響に加えて、平成27年度では熱源深度による影響やより現実的な条件での推定精度を明らかにすることを目的にガスの抜け道が曲部を有する場合について検討した。その結果、本研究で提案した熱源位置推定手法により推定された熱源位置は実際の熱源位置に比べて鉛直方向に大きなずれが生じることはあるが、水平方向の誤差は1m程度と小さく、熱源の水平位置を高精度で推定可能であることが示された。さらに実際に内部熱源を有する産業廃棄物処分場を対象に本提案手法を適用した結果、熱源推定位置は1m深地温調査による熱源推定位置と水平方向で約1mの誤差であり、本提案手法の有効性が示された。
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