研究課題/領域番号 |
26820224
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石内 鉄平 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90527772)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高分解能衛星画像 / 土地被覆分類 / 地上到達紫外線モデル / UAV |
研究実績の概要 |
本研究は、日常生活圏における地上到達紫外線量の実態と空間構成の因果関係を明らかにし、人体への環境負荷低減に向けた地上到達紫外線分布図の作成と屋外空間の計画手法の開発を目的とするものである。具体的には、簡易な紫外線計測機器を用いた現地観測と測量、ローカルリモートセンシングの結果から、樹木や構造物の配置、土地被覆状況等の空間構成、精緻な地形情報に基づく地上到達紫外線モデルを構築する。モデルの生成過程で得られた知見と高分解能衛星画像による画像分類を用いて地上到達紫外線分布図を作成し、その有効性について検証する。 平成26年度は、地上到達紫外線量と空間構成の関係性を明らかにするため、地上到達紫外線量の現地観測を実施した。その結果を受け、平成27 年度は基礎データとなる地上到達紫外線量の現地観測を継続して実施し、データの信頼性向上に努めた。そして、土地被覆等の空間構成を考慮した地上到達紫外線モデルを構築した。 また、高分解能衛星画像とGPS を搭載したラジコンヘリを用いてローカルリモートセンシング分野における精緻な地形データを作成し、土地被覆メッシュと紫外線モデルとの対応から詳細な地上到達紫外線分布図を作成した。その際、緑陰の抽出がkeyとなるが、GPS を搭載したラジコンヘリにより重なり合う複数枚の写真画像から被写体の3D モデルが作成できる。これは数値表層モデル(DSM)であり、DSMとDEMの差分から樹木や建物の存在が正確に把握されるため、この技術を用いて紫外線分布図の精度向上手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27 年度は、地上到達紫外線モデルの精度向上を目的として、基礎データとなる地上到達紫外線量の現地観測は継続して実施し、データの信頼性向上に努めた。その結果、樹木の有無や土地被覆の状態により、紫外線の直射・反射量を算出し、土地被覆等空間構成の違いを考慮した地上到達紫外線モデルを構築した。 また、高分解能衛星画像とGPS を搭載したラジコンヘリを用いてローカルリモートセンシング分野における精緻な地形データを作成した。その際、緑陰の抽出がkeyとなるが、GPS を搭載したラジコンヘリにより重なり合う複数枚の写真画像から被写体の3D モデルが作成できる。これは、数値表層モデル(DSM)であり、DSMと数値標高モデル(DEM)の差分から樹木や建物形状が正確に把握することが可能となり。土地被覆メッシュと紫外線モデルとの対応から詳細な地上到達紫外線分布図を作成する手法を考案した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、紫外線同時観測を継続的に実施して、地上到達紫外線モデルの精緻化・紫外線分布図の検証を行う。また、これまでの研究成果である作成した地上到達紫外線分布図に対する住民のイメージ・意識を把握するためアンケート調査を実施し、属性の違いによる紫外線分布図の有効性や利用方法を検討・提案する。 加えて、数式化された地上到達紫外線モデルと作成された地上到達紫外線分布図を用いて、紫外線予防に効果的な屋外空間の設計・再整備方針を開発し提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、物品費として計上していた複数台の紫外線計測機器購入について、株式会社ロームより紫外線センサ機器の無償提供の申し出があった。本研究を遂行する上で、当初市販されている紫外線計測機器の購入を計画していたが、その性能を鑑み、株式会社ロームで開発されている機器を用いることとしたため、機器購入のための経費を使用しておらず次年度への繰越金が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
紫外線機器購入に伴う経費が、企業からの無償提供により次年度繰越金として発生しているが、今後、紫外線分布図の精緻化・高精度化に向けて、衛星画像解析ソフトの購入を検討している。従来使用計画として挙げていたソフトよりも画像処理技術が進歩しており、その技術を本研究で活用することで本研究の目標達成に近づくものと思われる。 また、本研究の成果を国内外にて発表し、広く公表する機会を設けることで日本だけでなく海外に向けても紫外線予防の一つの手法研究としてPRする。
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