研究課題/領域番号 |
26820245
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 伴延 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20386907)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 温熱生理 / 熱中症 / ヒートショック / 人体シミュレーション / 血流 / 血圧 / 体温 / 生理量測定 |
研究実績の概要 |
1) 人体モデルの構築:人体モデルを物理モデルと生理モデルに分割し,さらに,物理モデルを体温予測モデル(伝熱解析)と循環系モデル(流体解析)に分割して,各モデルの構築を進めた。循環系モデルに関しては,Liangらのモデルを基礎とし,大動脈・動脈を再現する1次元モデル(1-Dモデル)と,細動脈.静脈・心臓・肺循環を再現する集中定数系モデル(0-Dモデル)から成るモデルを構築した。体温予測モデルに関しては,循環系モデルとの統合に備え,既に開発してあったモデルについて血管の配置及び部位分割の改良を行った。 2) 生理量測定実験:人体生理反応の解明およびモデル検証用のリファレンスデータ収集のため,血流量・血圧を含む生理量測定実験を実施した。実験条件として,姿勢が椅坐位で室温を23℃・28℃・35℃とした条件,室温が28℃で姿勢を仰臥位・椅坐位・立位とした条件を設定し,被験者2名を対象に繰り返し実験を行った。これにより,室温の上昇による四肢の血流量の増加,それに伴う皮膚温上昇や鼓膜温度低下などが観察されたほか,姿勢が仰臥位から椅坐位,立位になるにつれて,一回当たり心拍出量の低下や心拍数の増加,皮膚血流量の減少傾向などが観察された。また,被験者の体格・体質の違いに起因すると考えられる,血流量の変化傾向の差異についても観察された。 3) 実験に基づく循環系モデルのパラメータ検討:実験で得られた測定値に基づき,循環系モデルの各種パラメータを推定した。被験者の特性に合わせたパラメータを用いることで,実験時の血圧と血流量を概ね再現できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,平成26年度に人体モデルの構築を完了することとなっていたが,人体モデルを3つのサブモデルに分割して開発することで,モデル構築の一部を平成27年度に持ち越した。ただし,平成27年度に行う予定としていたモデルパラメータの検討の一部を平成26年度に実施したので,研究遂行に特段の遅れは無く,順調に進展している。 また,生理量測定実験についてもほぼ計画通りに実施されており,順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は下記を実施する。 1) 物理モデルの構築:物理モデルの一部である体温予測モデルについて,本研究の実験で得られた測定値に基づいてパラメータを再検討する。また,平成26年度に構築した循環系モデルと統合し,物理モデルとして完成させる。 2) 生理モデルの改良:既往文献を参考に構築されている生理モデルについて,本研究の実験結果に基づいて改良を加える。 3) 生理量測定実験:平成26年度に引き続き,人体生理反応の解明およびモデル検証用のリファレンスデータ収集のための生理量測定実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度行った成果発表の会場が所属大学だったことと,その他に成果発表をする機会が少なかったことにより,旅費を来年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は成果発表の機会が増えるため,その旅費に充当する。
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