研究課題/領域番号 |
26820252
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 理恵 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599104)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 季節居住 / 生活環境 / 都市郊外 / モンゴル / 内モンゴル |
研究実績の概要 |
モンゴル遊牧社会における連帯的都市機能を分析したうえで,牧畜民の生活領域を文化的景観の価値評価基準を用いて評価し,保全計画の作成および提案を行うことを目的としている。モンゴル牧畜民の集落の特徴である複数の拠点を持ち季節に応じて移り住むこと,必要に応じて集合と分散を繰り返すことは,人口減少や高齢化社会を迎えている日本をはじめ,各地で地域居住のあり方が問われているなか,都市居住を再考する手がかりになると考えられる。 H26年度は,モンゴル国ウランバートル市郊外住宅地における季節的居住の事例を調査した。調査地は都市中心部から北へ約15kmに位置するヤルガイト地区である。旧ソ連時代に労働者の保養地として整備され,1990年の民主化以降,個人による住宅建設が進み,スプロール化と衛生環境の悪化などが問題視されている。夏期には約778世帯,約2860人が滞在する。調査は,ウランバートル市担当者へのヒアリングにより,都市計画上の位置づけや整備方針を把握し,夏期には現地踏査および住民へ対するアンケート調査を実施した。全世帯をまわり,そのうち152世帯より回答を得た(2014年7月5日~9月14日)。このうち同意の得られた12世帯に詳細なヒアリング調査を実施した。 結果として,都市基本計画における当該地域への建設制限や農園地としての保全といった方針に対し,個人への土地所有権を認める法整備の矛盾が生じており,定住地域化(高級住宅地化)が進む可能性があること,個人的な建設が進む中で敷地境界への意識が高まり,水源や林なども個人の敷地内に取り込むなど排他的な囲い込みがみられ,本来都市住民がズスランに求める住環境が変化していることが分かった。共用地としての管理など制度の柔軟化,住宅の規模や柵の設置に対する建築協定などの検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モンゴル国における調査は順調に進展しており,研究成果の発表に至っている。論文としてもまとまりつつある。内モンゴルでの調査や計画策定の連携について具体的に進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
モンゴル国での調査を論文化し,具体的な改善策の検討に入ると同時に,内モンゴル自治区での追加調査や具体的な保全計画策定への準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付決定から約4ヶ月間,在外研究のため国外に滞在しており予定していた内モンゴルでの調査をH27年度に実施することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
内モンゴルでの補足調査の予定回数を増やし,研究の目的が達成できるよう全体の調査計画を調整する。
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