研究課題/領域番号 |
26820256
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鈴木 規道 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (90724849)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 都市・地域計画 / 予防医学 / 母子の健康 |
研究実績の概要 |
近年増加するアレルギー,喘息,など人々を取り巻く社会環境,生活環境は大きく変わってきており,それに伴い,環境の汚染や変化が人の健康などに悪影響を及ぼす可能性が多く取り上げられている.子どもの健康を環境汚染から守るために,環境省による「子どもの健康と環境のための全国調査」(通称エコチル調査)が実施されている. これは、主として環境中の化学物質が子供の発育にどのような影響を及ぼすか,という<医学・環境学分野>の大規模全国調査である.本研究では,“母子の健康状態”に地域環境がどのような影響を与えているか,という点に着目し, 個人の生活スタイルを含む,地域環境要因が“母子の健康状態”に与える影響構造を明らかにする事を目的としている.
平成27年度について,以下の項目を実施した. 地域構造要因の分析① 居住地域の地域度を表す変数として<可住地人口密度>,居住地域に配されている公民館,公園,学校などの公共施設や生鮮食料品店,スーパー,コンビニなどの商業施設に代表される<施設要素>の抽出,近隣の緑量を衛生写真より抽出した. ② これらの要素を地理情報システム(GIS)で集計し小地域ごとの統計情報を得た. ③ 上記の地域環境要因と児の出生体重との関係をロジスティック回帰を用いて分析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究機関で実施されたコホート調査はおおむね順調に進んでいる. データ整理及び解析方法の検討が進んでおり,本研究の達成度についておおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策について,引き続き実施しているコホート調査より得られた情報を随時追加し解析を進めていく. 本年度の目標である社会経済要因の分析を進めると同時に,ここまでに得られた個人生理要因,地域構造要因,社会経済要因の3指標のデータについて,相互に,相関分析や多重ロジスティック回帰分析を実施し“母子の健康状態への地域環境の影響構造”を明らかにする.
(1)個人生理要因:妊婦の年齢,出産回数,教育歴等, 妊娠初期の体重,身長,生化学指標,血中の化学物質濃度,児の出生体重などの生理要因より母子の客観的栄養状態 (2)地域構造要因:対象とした地域の<可住地人口密度>, <施設要素>, (3)社会経済要因:身長,体重,既往歴,居住地域等の情報,生体試料により生化学指標や化学物質濃度の3要素について,相関解析,多重ロジスティック回帰分析などを実施し,“母子の健康状態への地域環境の影響構造”を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた理由として,研究計画の精査により,研究代表者自らがデータを整理し実施したため謝金が生じなかったこと及び,予定していた学会の参加がデータ整理上の問題で叶わなかったことなどである.
また、物品費の使用額が計画とズレが生じた理由として、新しい統計解析手法を取り入れるために新規の統計ソフトを購入した事などである.
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であるため,主として,成果発表のための国内旅費及び,外国旅費,資料整理,論文閲覧,論文投稿などに使用する予定である. そのほか最終年度の取りまとめに必要な,印刷費,消耗品費などに使用する予定である.
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