研究実績の概要 |
都市と健康の取り組みは世界でも注目され,WHO(世界保健機関)の提言のもと都市の環境が健康に与える影響に対応するため,健康都市の取り組みを世界中で推進している. Global Report on Urban Health(都市部の健康に関するグローバル・レポート:持続可能な開発のために,公平でより健康な都市を)や,Urban HEART(アーバンハート:都市における健康の公平性評価・対応ツール)等の開発がなされている. 日本においても2012 年に厚生労働省が「健康日本21(第二次)」の中で「健康格差の縮小」や「社会環境の質の向上」を提示している. さらには,2014 年に国土交通省が「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」を公表するなど,都市と健康への問題提起が強くなされている. 近年増加するアレルギー,喘息,など人々を取り巻く社会環境,生活環境は大きく変わってきており,それに伴い,環境の汚染や変化が人の健康などに悪影響を及ぼす可能性が多く取り上げられている.子どもの健康を環境汚染から守るために,環境省による「子どもの健康と環境のための全国調査」(通称エコチル調査)が実施されている. 本研究では,“母子の健康状態”に地域環境がどのような影響を与えているか,という点に着目し, 個人の生活スタイルを含む,地域環境要因が“母子の健康状態”に与える影響構造を明らかにする事を目的としている.
平成28年度は,以下の項目を実施した. 衛星画像とGIS:geographic information system(地理情報システム)を用い,近隣の植生指数(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指標)を抽出し,健康影響との関係を示すとともに,NDVIの算出方法を検討し,今後の大規模疫学調査の解析の可能性および問題点の抽出を行う事を目的とした.
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