本研究では,2002年以降にわが国の大都市で活発に行われた防犯まちづくりの諸対策のうち,特に防犯カメラの設置事業に焦点をあて,犯罪への影響を検証した.具体的には,自治体による公共空間への防犯カメラ大規模設置事業の事例を対象に,同事業の取り組み実態を明らかにし,さらに,繁華街への防犯カメラの大規模設置事例を対象に,設置前後での犯罪情勢の変化を明らかにした.その結果,①事業の内容は自治体により大きく異なること,②特に防犯カメラ設置時における台数や箇所選定の決定過程や市民への説明の機会において課題があること,③繁華街に設置された事例では,財産犯に効果が見られたことなどを明らかとした.
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