本研究では、タイ・バンコク及びその周辺における洪水対策を、1960年代以降のダムや遊水地の建設といった行政レベルと、伝統的な高床式住宅の建設といった民間レベルの両面から明らかにした。特に、伝統的な高床式住宅が多く現存する、バンコク北部のアユタヤ県バーンバーン地区において、11棟の高床式住宅の洪水への対応について現地調査を行った。こうして、洪水常習地域における、通常の洪水に対応した集落の立地と高床式住宅の床高、さらに2011年大洪水時の高床式住宅の改造といった、住民が実践する洪水と共存するための様々な手法が明らかとなった。
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